ボードゲーム:どうぶつしょうぎ 紹介&感想
子ども向けといって侮れない、ミニマムだけどちゃんと将棋な「どうぶつしょうぎ」の本気紹介&感想です。
どうも、たけです。
僕が1年前に知ってからほぼ毎日プレイしている「どうぶつしょうぎ」について本気で紹介したいと思います。アプリで簡単にできるのでみなさん今すぐやってください。
- プレイ可能人数 2人
- ルール説明時間 5分
- プレイ時間 5分
どうぶつしょうぎとは
棋士の北尾まどかさんがルールを考案し、同じく棋士の藤田麻衣子がデザインした、3×4の小さい盤上で動きを簡略化したコマで遊ぶミニチュア将棋です。さすがプロ棋士が考えたというだけあって、シンプルなわりに奥が深い本格的な戦いを楽しむことができます。
ルール
以下の5種類のコマを使います。
- ライオン:縦横斜め全方向に1マス動ける。将棋における王。
- きりん:縦横に1マス動ける。将棋における飛車てきな。
- ぞう:斜めに1マス動ける。将棋における角てきな。
- ひよこ:前にだけ1マス動ける。将棋における歩。相手側最奥まで進むとにわとりに成る。
- にわとり:縦横と斜め前に1マス動ける。将棋における金。
移動した先に相手のコマがある場合はそのコマを取ることができ、自分のコマを動かす代わり自分のコマとして好きな場所に召喚することができます。「二ひよこ(二歩)」は反則ではありません。
次に説明する「キャッチ」または「トライ」によって勝利となります。
- キャッチ:相手のライオンをとる
- トライ:相手側最奥まで自分のライオンを進める。ただし、移動した次の相手ターンでそのライオンを取られない状態でないといけない。
また、同じ盤面が3回出た場合は「千日手」として引き分けになります。
実践動画
百聞は一見に如かず。ここで、実際にどうぶつしょうぎをプレイしている動画をご覧ください。「どうぶつしょうぎウォーズ」というアプリで僕が知らない人とオンライン対戦している様子です。中盤僕が攻め込むのですが、50手目でミスをして、そこからボコボコにされていきます。
このように、簡単化されてはいるものの十分将棋っぽい戦いになるのがどうぶつしょうぎの魅力です。通常20~30手、長くて50手以内で決着することが多く、50手かかるとかなり満足感があります。この動画のように70手を超えるのは稀です。
どうぶつしょうぎの楽しみ方
どうぶつしょうぎをお手軽にプレイするには、以下の方法があります。
- 新装版どうぶつしょうぎ
実際に盤上でコマを手で動かしながら遊べる公式セット。イラストがかわいい。知育玩具として子どもへのプレゼントによさそう。 - アプリ「どうぶつしょうぎ(公式)」
有料アプリではあるが安い。レベル分けされたコンピューターと対戦できるためどうぶつしょうぎ修行に最適。友達と一緒にいるときにこのアプリを使ってスマホ上で対戦することもできる。 - アプリ「どうぶつしょうぎウォーズ」
オンラインで全国のプレイヤーと対戦できるアプリ。ニックネームを登録するだけで利用可能。レート設定があり、30級から始まって勝利を重ねると昇級、昇段していく。一日6戦までは無料でプレイでき、課金すれば無制限になる。このアプリでの対戦では持ち時間が2分と決まっていて、時間切れになると負け。「ぞう冠」や「きりん無双」など、勝手に型に名前を付けて実況してくれるのが楽しい。フレンド登録しておけば特定の友人とオンライン対戦することも可能。 - 手作りする
僕はほぼ毎日「どうぶつしょうぎウォーズ」で6戦消費しています。どうぶつしょうぎを知ってからまずはどうぶつしょうぎウォーズで少しやって、勝てないので「どうぶつしょうぎ(公式)」のアプリで修業したのち、どうぶつしょうぎウォーズに帰ってきました。やはり対人は楽しいですし、時間制限があるのもいいです。「どうぶつしょうぎウォーズ」ではマッチングに時間がかかるとプレイヤーのレートに応じた強さのbotとマッチングされるのですが、僕は対人が好きなので設定を変更してbotとは当たらないようにしています。人口少ないので夜中はなかなかマッチングされません。人口増えてくれ。ちなみに現在の僕のレートは2級です。
基本戦略
盤面は小さくコマも少ないとはいえ、覚えきれるほどパターンが少ないわけでもありません。ある程度の展開の型はないことはないですが、その型を基にプレイするというよりは大まかな方針をもとに動くことが多いように思います。僕にわかる範囲で基礎的な考え方を少し紹介します。
- 「ひよこ」と「きりん/ぞう」の交換を狙う
「自分のコマを取られて相手のコマを取る」「相手のコマを取って自分のコマを取られる」というのが「交換」です。きりん-きりん、きりん-ぞう、ぞう-ぞうの交換はほぼ等価交換なので戦況にさほど影響しません。ひよこを取らせてきりんorぞうを取れるとかなり有利になるので、序盤はこれを狙って動くことになります。 - 数で勝つ
「取って→取られる」は交換ですし、「取って→取られて→取って→取られる」も交換です。しかし、「取られて→取って→取られる」では一コマ損することになります。「あるマスに移動できるコマ」が相手に2コマあり、自分には1コマしかない場合、この「取られて→取って→取られる」という展開になりやすいです。前線を相手より多くのコマで睨んでおくことが重要です。 - ライオンが前に出ると強い
ライオンが前に出ていると、先述の交換合戦において広範囲に睨みを効かせることができて有利です。さらに隙あらば2歩でトライできます。そのため、例外もありますがライオンは前に出たほうが有利なことが多いです。逆に相手のライオンが一歩出てきた場合はトライを警戒しておくことが大事です。 - 移動先は残しておく
どうぶつしょうぎの盤面は非常に狭いです。すると「動かしたくないけど動かさないといけない」という場面がよく生じます。パスはできないので、自分にとって不利と分かっている手を打たなければいけないのです。そうならないように自分のコマの周りが狭くなりすぎないようにしましょう。逆に、焦って攻めなくても待ちの姿勢で控えておくことで、相手がそのような状態に陥って自壊することもあります。 - 先手を打つ
王手を打たれると、打たれた側はそれを回避するしかなくなります。その強制力が強いです。例えば等価交換の結果、場に出ているのがお互いライオンだけになり、それぞれきりん、ぞう、ひよこを持っている場合を考えてみます。この場合、双方の持ち駒は同じなので一見対等と思うかもしれませんが、実際は次に打つプレイヤーの勝ちがほぼ確定しています。「王手→よける→王手→よける」 と展開すれば、盤上は「3コマ vs ライオンのみ」というすっかり非対称な状態になるからです。いわゆる「先手を打つ」ですね。「取って→取られて→王手」というような展開は有利に働くことが多いので先手を取っていきましょう。逆に、守りの際は連続して王手されないような逃げ方をするのが大事です。
コンピューターによる解析
田中哲朗氏による全局面の解析により、どうぶつしょうぎは正しく打てば後手が必ず勝てることがわかっています。実際にはパターンが膨大過ぎて常人にはその全最適手を暗記して打つような芸当は不可能なため、ゲームを楽しむうえでは後手が有利ということは感じません。実際ぼくの「どうぶつしょうぎ(公式)」アプリでの戦績では先手の場合も後手の場合も同じ勝率です。
これを受け、この最適手を打つアルゴリズムを実装し、絶対に勝てない相手と対戦できる「どうぶつしょうぎ名人」を作った人がいるので、絶望を味わいたい方はぜひ。
このソフトでは「その手を打つと負けまで残り何手か」が表示されるようになっています。負けまで長い手の方が良い手のような気もしますが、対人で考えると必ずしもそうでもない気がするのがゲームの深いところですね。「手数はかかるが戦略が分かりやすい手」と「手数は短いが戦略が分かりにくい手」であれば、時間制限付きの対人戦では後者の方が強いことも多いと思います。「計算しやすさ」と「思いつきやすさ」はコンピュータと人間の差が出るポイントなのかもしれません。
小学四年生たちの感想
たけ ☆4.0
ボードゲームをするようになってから、ときどき「ボードゲームが好きだと言っておきながら囲碁、将棋、チェスをやってないのは許されるのか??」という罪悪感のようなものが生じます。全てそれらができないことの誤魔化しなのではないか、と...。そうした気持ちを和らげてくれたのがこの「どうぶつしょうぎ」です。お手軽に「将棋的なおもしろさ」を味わえるのが大変ありがたいです。特に「どうぶつしょうぎウォーズ」では持ち時間が決まっているのがポイントです。相手ターン中に相手の立場から打つ手を予想して対策することの練習になっていて、この基礎能力向上は他のボードゲームでも活かされていると思います。ちょっとした休憩のタイミングに「どうぶつしょうぎウォーズ」でオンライン対戦するのはいい気晴らしです。初段までは行きたい。
むる ☆3.0
たけに熱烈に勧められてプレイ。最初はこんな少ないコマ、狭い盤面でちゃんとゲームになるのかと疑問に思っていたが、意外とちゃんと将棋になっていたので驚いた。ただ、どうしても相手がミスをするのを待つような形にはなるし、おそらくいくつかの「勝ちパターン」に持っていくことが目標になるという点で、窮屈な印象はある。単におれがこういう完全情報ゲームが得意でないという話でもあるんだけど。短い時間で終わるのは長所だと思う。9×9マスの「おおきな森のどうぶつしょうぎ」というのもあるらしい。どんなゲームなんやろ、と解説を読んで「面白そうやな」と思ったら、普通の将棋のことだった。将棋は良ゲー。
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』 感想編
ダニエル・キイス作のSF小説『アルジャーノンに花束を』(ハヤカワ文庫NV)の感想編です。
紹介編はこちら。
【ここに紹介編のリンクを貼るべし】
たけ、むるが読みました。それぞれの感想です。
※以下、ネタバレを含みます
たけの感想
総合評価 ☆3.0
「人生」という感じの物語が好きなので、一部始終が語られるのは満足感がありました。SF、知的障害者の話、青春、家族関係、人間心理など、要素盛りたくさんでした。幼少期の記憶が徐々に蘇るところなんかはミステリーのようでもありました。読みやすかったですし、「いい話を読んだな」「読んでよかったな」という爽やかな印象はあります。特別感銘を受けたというほどではないです。
チャーリーの変化と文体
文体の変化について、体験としてわりとおもしろかった印象です。序盤の文章は「拙い文章を書かなければいけないが、物語は伝わらないといけないし、読みにくすぎてもいけない」という制約の中での訳者の奮闘をメタ視点で楽しむようなところもありました。その後、思ったよりも急激にチャーリイが賢くなり、ビシビシとキレのある文章になっていくのは爽快感があっておもしろかったです。文体の変化に関してなんとなく前半よりも後半の方が効いたのは、獲得よりも喪失の悲しさが印象的だったからかもしれません。特殊な演出としていいエンタメ要素でした。
これはちなみになんですが、フリースタイルダンジョンでおなじみ裂固の「keep on running」という曲に「やっと始まった青春を存分に謳歌」という歌詞があるのを思い出しました。裂固は中卒からのバイト生活を抜けてラッパーとしての青春ということでしょうが、チャーリイもやっと始まった青春をめちゃめちゃに謳歌してましたね。
母との再会
印象的な出来事でした。チャーリイの知的障害を認めず、チャーリイに厳しく当たってきた母親はチャーリイの巨大なコンプレックスになっていました。それを克服するために意を決して会いに行った母親がぼけてしまっていたという皮肉。子どものころと知能レベルが逆転したわけです。妹からの肯定によってかなり救われたとは思うのですが、母親に対するコンプレックスをそうすっきりと解決できないところがよかったです。
彼にどうあってほしいと思うのか
紹介編に「チャーリイの変化を目の当たりにしたあなた自身が、どういう印象を抱いのか。彼にどうあってほしいと思うのか。」と書きました。この物語を読んで「チャーリイが手術を受けるべきだったかどうか」「最後知能が戻ってよかったのか」ということを考えてみる人は多いのではないでしょうか。そのとき、「知能は一定より高い方がいい」というような価値観が自分の中に垣間見え、取るべき態度を迷います。
チャーリイがパン屋の仲間にひどいことをされているのに無自覚だったことを考えると、それに気づける程度ではあってほしいと思うことは正当な気もします。しかし、それは手術前のチャーリイに対して失礼なようにも思います。結局はチャーリイ自身がどう思っているかが重要なのでしょうが、その問題に対して考えるとどうしても「知能が一定より高い側」の自分の傲慢さが気になって、物語の中でチャーリーを苦しめていた人々と自分も変わらないのかもなと思わされます。先ほど「ビシビシとキレのある文章になっていくのは爽快感があって」と書きましたが、この爽快感も知能はあった方がいいと思っているからこそかもしれません。
むるの感想
総合評価 ☆3.5
主人公チャーリィの知能とそれに伴う内面の変化を一人称視点を巧みに描いている。知的障害者の内面を想像して表現するには相当の表現力と覚悟が必要であろう。この作品をSFのジャンルに入れる客観的根拠は、知能を向上させる夢のような手術(と権威あるネビュラ賞を受賞したという事実)くらいしかないと思われるが、この作品を特別なものにしているのは間違いなくSF的想像力である。
手術によりチャーリィの知能が向上し、また最後には元の知的水準に戻るのはあくまでフィクション作品の筋書きに過ぎないが、これは現実の人間が体験しうる人生を圧縮したものとして捉えることもできる。急激な知能の向上により、チャーリィはそれまでの優しい心を失い、人間関係に歪みが生じる。われわれも、たとえば親世代よりも高度な教育を受けて階層移動を経験することにより、それまでの家族的地域的な関係性から離脱することがある。この「変わってしまうことによる寂しさ」は、チャーリィだけのものではないだろう。
また、チャーリィの場合は手術の結果として知能が再び低下したが、われわれも老いとともに似たような経験をするはずである。加齢による知的身体的能力の低下を受け入れられずに困惑する人も多いと聞く。チャーリィはそれを受け入れた。自分に同じことができるかどうかと考えると他人事ではないように感じられる。
不満に思った点も述べておこう。IQ180の天才となったチャーリィは自らが受けた手術の限界を研究によって明らかにしていくのだが、そこで描かれる天才性に凡庸なものを感じてしまった。チャーリィが取り組んだ研究は神経科学などの領域に属するものだろうが、まるで数学の天才のように机の上で思索を行うことで研究を進めており、多少の違和感がある。天才を描くことの難しさを思い知らされる。
知的障害者の内面とその変化を描くことはもちろん作者にとっても簡単ではないだろうが、それは訳者にとっても同様だろう。序盤の報告書においては、おそらく原文のスペルミスなどを漢字の偏の間違いなどで表している。訳者の工夫も想像できておもしろい。次に読み返す機会があれば原文で読み、翻訳と比較してみたい。難単語にルビで和訳が振ってある講談社のルビーブックスシリーズにも加わっているので、これを使えば英語の勉強にもなりそうだ。
以上、ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』の感想編でした。
アルジャーノンに花束を [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス
- 作者: ダニエルキイス
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 1999/04/28
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』 紹介編
どうも、たけです。
ダニエル・キイス作のSF小説『アルジャーノンに花束を』(ハヤカワ文庫NV)の紹介編です。感想編は明日更新します。
概要
アメリカ合衆国の作家ダニエル・キイスによる現代社会を舞台にしたSF小説。中編小説として発表されたものがヒューゴー賞を、後に長編化されたものがネビュラ賞を受賞しています。SFですが舞台は未来や宇宙というわけではなく、現代社会においてある特殊な手術が行われたことから始まる物語です。その手術の特殊っぷりがこの小説をSFたらしめています。
主人公は知的障害者の32才男性、チャーリイです。チャーリイは子どものような知能と心を持った明るくやさしい青年で、パン屋で働きながら楽しく暮らしています。そんなチャーリイが大学の最新研究成果を用いた手術を受けることになり、その経過をチャーリイ自身が綴った経過報告書として描かれた作品です。そして、その手術というのは「頭がよくなる手術」です。
手術による変貌に伴い、チャーリイにとって世界は、人々はどのように変わるのか。また変わらないものは何か。知能の変化と一筋縄にはいかない心、彼自身と周囲の人々の人間性を描いた、幸せとは何かを考えさせられる作品です。
オススメポイント1 文体に表れるチャーリーの変化
先にも述べたように、この物語は主人公チャーリイ自身が書く経過報告書として語られます。なので全てがチャーリイの言葉であり、チャーリイに起こる様々な変化が文体に現れてきます。最初は知的障害者のチャーリイなりに誤字だらけの拙い文章になっていて、なんなら読みにくさと戦う必要があるのですが、それが徐々に、そして露骨に変化するのは体験的なおもしろさがあります。訳者の技量も問われてます。
オススメポイント2 知能の成長と心の成長
主題の一つだと思います。手術によって急成長を遂げる知能と、そう簡単に成長しない心と。特殊なものを描くことによって、それと比較して特殊でないものに注目するという描き方はよくあると思いますが、この物語も急成長する知能と比較することで心の問題が強調して描かれます。超人的な部分と普通の部分とまだまだ足りない部分と、それらが共存するチャーリイに対し、目上の人に感心するような、同時に等身大で、でも親心も持って、という入り組んだ視点で感情移入することでしょう。
オススメポイント3 あなたはどう思いましたか?
この物語はチャーリイ目線で描かれているため、読者はその目線に憑依してチャーリイから見える世界が変化していく様子を体験することができます。その中で、チャーリイの変化に直面した人々が、彼に対してどのような態度を示すのか。やさしさにほっこりすることもあれば残酷なこともある人間ドラマを生々しく体験できます。
さて、「この物語はチャーリイ目線」と書きましたが、実はそれと同時に読者は「チャーリイの経過報告書」を読んでいる第三者でもあります。チャーリイ目線で世界を見ると同時に、第三者目線からチャーリイの経過を観察しているのです。チャーリイの変化を目の当たりにしたあなた自身が、彼にどういう印象を抱いのか。彼にどうあってほしいと思うのか。そこに耳を澄ませてみるとおもしろいかもしれません。
小学4年生たちの感想
たけ ☆3.0
文体が変わっていくことについては、こんな露骨なのは初めてだったのでおもしろかったです。「人生」という感じの物語が好きなので、一部始終が語られるのは満足感がありました。SF、知的障害者の話、青春、家族関係、人間心理など、要素盛りたくさんでした。読みやすかったですし、「いい話を読んだな」「読んでよかったな」という爽やかな印象はあります。特別感銘を受けたというほどではないですが、有名ですし、十分おすすめです。
むる ☆3.0
主人公チャーリィの知能とそれに伴う内面の変化を一人称視点を巧みに描いている。有名作品なので読んでおいて損はないです。
以上、ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』の紹介編でした。明日更新の感想編に続きます。
ボードゲーム:ディクシット 紹介&感想
概要
- プレイ可能人数 :3~6人 (適正人数5,6人?)
- ルール説明時間:3分
- プレイ時間:30分
- 全員に6枚ずつカードを配る
- 「語り部」を一人決める
- 語り部は自分の手札の中から好きなカードを一枚選び、伏せたまま出す
- 語り部は出したカードの絵柄から、そのヒントになる言葉を言う。単語でなくても文章や身振りなど何でもよい
- 他のプレイヤーは語り部のヒントから連想されるようなカードを自分の手札から選び、伏せたまま出す
- 語り部が最初に出したカードと他プレイヤーが出したカードをまとめてシャッフルしてから表向きに並べる
- 語り部以外のプレイヤーは「語り部が出したカード」を予想し、そのカードに投票
- 投票結果に応じて各プレイヤーに点数が入る。
- 全員山札から手札を一枚補充
- 語り部を交代
このような流れを繰り返します。投票結果に応じて下記のように点数が入ります。
小学四年生の評価
たけ ☆5.0
相川七瀬 LIVE TOUR 2019「NO LIMIT」 セトリ&感想
むるです。相川七瀬さんのライブツアー「NO LIMIT」の大阪公演 第1部に参加してきましたので感想を記しておきたいと思います。
ぼくは90年代J-Popが好きで、圧倒的トップはT.M.Revolution(西川貴教)なのですが、Every Little Thing、LUNA SEA、黒夢、B’z、X JAPAN、TWO-MIX、浜崎あゆみ、KinKi Kidsなどもよく聴きます。他にも、WANDS、DEEN、globe、華原朋美、TM NETWORK、PUFFYなどにも好きな曲があり、たまに聴いています。90年代の今から見るとちょっとダサくて懐かしい感じが好きなんですね。ダサくもないものは絶対にかっこよくないので。80年代だともう逆にレトロである意味オシャレ、的な受容のされ方もされているように思うので、まだ一周回ってきていない感じも含めて愛しています。
親がたまに聴いていたりしたこともあって、ベスト盤を聴いたことで眠っていた記憶が呼び起こされノスタルジーが大爆発し、2014年に急にELTに目覚めてファンクラブに加入するなどの事件もあったのですが、似たような感じで90年代に流行した歌手でまだちゃんと聴いていなかった人を掘り起こしていると、相川七瀬にぶち当たりました。
元々相川さんが西川さんがニコ動でやっていた番組「西川貴教のイエノミ!!」で初代アシスタントを務めていたことがあったり、西川さんの元嫁ことPUFFYの吉村由美さんと3人で仲がよかったり、abingdon boys schoolのメンバーでT.M.Revolutionのサポートもしている、元wandsの柴崎浩さんがよく相川さんに楽曲提供をしていることもあったりと、何かと西川さんと関係があるので意識していました。「イエノミ!!」での姉御肌のトークや西川さんに対する鋭いツッコミで印象がよかったのですが、そろそろ曲もちゃんと聴いてみるか、と思って聴いたところ、90年代好きのツボをガシガシ刺激してくる名曲ぞろいでガッツリはまりました。ちなみに同時期に父親もはまっていて、iTunesを止めたはずなのになぜか2階から相川七瀬が聴こえるぞ?と思ったら父親が同じアルバムを聴いていました。やめろよ。
そんなこんなで一回ライブに行ってみたいと思いつつうだうだしていたのですが、昨年末にちょっと精神を病んでいた時期があり、そのときに相川さんのライブが一般募集されていたのを見て、ええいと勢いで申し込みました。
会場は梅田のビルボードライブ大阪で、ぼくはてっきりライブハウスだと思っていたのですが、行ってみると何やら雰囲気が違う。まずみんな慌ててコインロッカーに荷物を詰めたりしていない。調べてみると、お酒と食事を楽しみながら音楽を聴くというオシャレ空間だったのです。下に着てきたTシャツとライブハウスでの戦闘用のカバンは意味がなかった。クロークがあって、向こうから荷物を取りに来てくれる。汗でびしょびしょになりながら暴れる空間ではなかったのです。遅くエントリーしたのでステージに近いテーブル席はほとんど埋まっていたのですが、元々一人では行きにくいので問題なし。ステージ全体が正面から見られるカウンター席に座りました。食事は結構いいお値段だったのでウィルキンソンのジンジャーエールだけ注文したのですが、それでも700円しました。客層としては、若者はほとんどおらず、中年男性7に対して中年女性3といった印象です。T.M.Revolutionなどのライブと違って普通のおじさんとおばさんたちでした。ELTの客層とちょっと近いですね。では、以下曲ごとに感想を。初参戦なのとファン歴が浅いのでそれ相応のコメントです。これから2/16の東京公演に参加する人はネタバレに注意。
続きを読む
漫画:高野文子『絶対安全剃刀』 紹介&感想
どうも、たけです。
高野文子の短編漫画集『絶対安全剃刀』の紹介&感想です。Amazonで関連商品に表示され、タイトルに一目ぼれして購入したのですが、大当たりの大満足でした。
どこか胸がざわつく、空気
「空気」を描くのが非常にうまく、各作品ごとに多様な雰囲気が言外に見事に表現されています。そのうちいくつかに共通するのは、どことなく心ざわつかせる不安感です。まさにタイトルの「絶対安全剃刀」と聞いた時に覚えるざわつきがそれです。絶対に、安全な、剃刀。でもざわつかせる以上のことはしてこないのが絶妙なところです。
「少女性」を描く
少女漫画を読んだ経験が乏しすぎるので雑な分析になります。この短編集では少女を描いた作品が多いのですが、彼女の作品には王道少女漫画のようなキラキラはほぼありません。しかし、そちら側ではないこちら側の「少女性」を描く、という意味でごりごりの少女漫画であるように思います。僕は少年なので「少年だったらこうはならない」というような新鮮さと生々しさを感じました。
絵が素敵
作品ごとにわりと絵柄が変わるのですが、それぞれ魅力的です。さわやかで、軽快で、ユーモラスで、幻想的で、きれいで、どこか淡々としていて。構図もコマ割りも、キャラのポーズや表情など、どれも一級品のように思います。とくに表情がたまりません。めちゃめちゃ漫画がうまい。
特に印象に残っている作品
「花」
少女と母が過ごすひとときを描いた作品。たった6ページでセリフも少ないのですが、ある迷信をモチーフにすることで、不安なはずがないのに、なぜかじっとりと不安になります。きっと少女はこのことをずっと忘れないのだろうな、という、そんな独特のひと時を描いています。
「ふとん」
少女の葬式の様子を死者の世界から幻想的に描いた作品。少女のあどけなさ、観音のいたわり、そして観音がそれを「祝い」と称した様に華やかに行われる儀式が印象的でした。
「田辺のつる」
認知症の老女が家族の中で過ごす様子を描いた作品。この作品の特徴はその老女を幼女として描いているところです。老女の中の「幼女性」が引き出され、得体のしれない不安を覚えると同時に、その幼女性が愛おしくもなる。衝撃的な作品でした。
「うらがえしの黒い猫」
分裂症気味の少女の物語。ごっこ遊びと思っている親からは隠された世界での少女の空想が描かれています。そして、その少女の世界が表の世界とふいに交差するところに心ざわつかされました。少年の空想における暴力への憧れとはまた違った不気味さがあります。
以上、高野文子『絶対安全剃刀』の紹介&感想でした。
ボードゲーム:Shogun(将軍)紹介&感想
バトルシステムが楽しすぎる、読み合いと戦略が重要なボードゲーム「Shogun(将軍)」の紹介&感想です。
概要
- プレイ可能人数 3~5人
- ルール説明時間 20~30分
- プレイ時間 90~120分
このゲームは戦国時代の日本が舞台です。各プレイヤーは将軍として自分の領地の拡大と発展を目指します。合戦のシステムが楽しすぎるので、その説明だけでも読んでください。
ゲームの大まかな流れを説明します。ゲームの初めにドラフトに近い方法で領地を選び、立方体の軍隊コマを配置します。これが初期領地となります。その後、春夏秋冬2周分の計8ラウンドをプレイします。各ラウンドの最初には「作戦フェイズ」があり、自分のボード上に自分の領地のカードを配置していきます。配置した場所ごとにアクションが決まっており、次のフェイズではその領地に関してそのアクションが行われます。アクションは大きく分けて次の4カテゴリに分けられます。
- 建設
たくさん立てると勝利点に繋がる建物を建設する。お金がかかる。 - 徴収
領地の維持するのに必要な「米」や何かと必要な「お金」を領地から徴収する。領地によって税収量が異なる。同じ領地から税収を繰り返すと一揆が起こる。 - 増兵
お金を払ってその領地の軍隊コマの数を増やす - 進軍&合戦
隣国に進軍し、そこが中立国の場合は地元農民と、他プレイヤー領地の時はそこの軍隊と合戦する
このアクションが実行される順番は事前にランダムに決まっており、その順番を踏まえてうまくアクションを割り当てる必要があります。他のプレイヤーの行動も大きく影響するため、相手の狙いを読みながらうまく作戦を立てられるかがゲームの肝となります。
次のフェイズでは、手版順をオークションで決めたのち、事前に決めた順で各プレイヤーのアクションを実行していきます。このような流れでゲームが進んでいき、年の終わりに条件に応じて勝利点が加算されていきます。
なんといっても、このゲームの見どころはその合戦のシステムです。軍隊コマ同士が1対1で消滅しあうタイプのバトルは他のゲームでよくありますが、「shogun」ではそこに特殊なシステムが使われています。このタワーを使います。
合戦に参加する双方の軍隊コマをまとめてこのタワーに上から投入し、落ちてきた数が多かった方が勝ち、というシステムです。めちゃめちゃ盛り上がります。タワーの中には何段か仕切りのようなものあがり、そこに乗ったコマは下まで落ちてこないようになっています。なのでコマ数が多いほうが勝つ確率が高いものの、下剋上もあり得るという戦国時代仕様です。タワー内に残ったコマはそのまま残されるため、次以降のバトルでやっと下まで落ちて加勢してくれることも。徴収を控えていれば農民が合戦に加勢してくれたりと、アツイ展開が多いゲームです。
読み合いと戦略が重要なゲームではありますが、バトルのたびにめちゃめちゃ盛り上がるので疲れを忘れて最後まで楽しめます。
小学四年生たちの感想
たけ ☆4.0
バトルが楽しすぎる。Antike Ⅱなんかでも運隊同士が数で戦うシステムはあるけれど、そこにコマを落とすという物理装置によるランダム要素を組み込んだのはすばらしいアイデア。農民に加勢してもらった時の「農民~~~」というノリも楽しい。作戦を立てるフェイズではごりごりに考える必要があり、かなり時間がかかってしまった。ハウスルールで制限時間を設けたが過ぎてしまったほど。しっかりとした戦略ゲームだけれど、その中に楽しすぎるバトルシステムがあることでずっと盛り上がったまま楽しめるいいゲーム。作戦フェイズではみんな同時に考えて、そのあとはもう決まったアクションを実行してくだけなので、ダウンタイム(ゲーム中の待ち時間)も少なめかもしれない。買おうかな...。
むる ☆4.0
重量級ゲーム。陣地を取って資源を生産し、隣接するプレイヤーと戦って陣地を拡大していく、という割とよくあるタイプのゲームだが、バトルシステムが画期的でめちゃめちゃおもろい。コマを投入するときのわくわくが半端じゃない。みんなで固唾をのんで見守るこの感じよ。この要素のおかげでバトルに不確実性がもたらされ、似たようなゲームとは異なるプレイ感になっている。ゲームが進むにつれて使えるコマがどんどん増えていくのと、陣地を取るとできることが増えていくのも楽しい。序盤はバトルしてもあまり割に合わないが、徐々にバトルがメインになってくる。
たけ、ざわ、おれ、そして未来世紀サクライのジンとシブヤの5人で集まり初プレイ。序盤のミスで陣地が一気に2つ消えたのは痛かったし、たけがミスをしたのだが、おれもそこにミスを重ねて2人で大損害になったのはつらかった。初期配置の運がよく、東側で固まって展開できたのはラッキーだったが、それにより逆に小さくまとまってしまってあまり攻めることができなかったのは反省。どんどんバトルした方がおもしろいので。赤がわたし。東国の主です。戦闘狂のシブヤ(黄)に襲われて中国・四国地方から亡命してきたジン(黒)をさっさと滅ぼしたいと思っている。シブヤが近くにいなくてマジでよかった。
たけ(青)が中盤に大きなミスをしたのと、ざわ(紫)が最後にたけの城を潰してくれたところに、騙し討ちのような形で後ろから攻め込んだことで優勝できた。ざわ、これが戦争やで。面白かったので是非またやりたい。コマを投入するだけで楽しいのでおすすめ。
- 作者: Dirk Henn
- 出版社/メーカー: Rio Grande Games
- 発売日: 2010/10/27
- メディア: おもちゃ&ホビー
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (3件) を見る