イタリアンアルティメットダークネス日記

おませな小学四年生たちが綴るわいわいブログ

G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』 紹介編

 どうも、たけです。

 G・ガルシア=マルケス作の小説『百年の孤独』(新潮社)の紹介編です。感想編はこちら。

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概要

 ノーベル文学賞も受賞したコロンビアの作家G・ガルシア=マルケスの名作ということで、ラテンアメリカ文学も読んでおくべしとして学級文庫入りした本です。

 物語はホセ・アルカディオ・ブエンディアがリーダーとなり開拓したマコンドという町を舞台としています。彼の家族の物語から始まり、その子孫のブエンディア一族を中心に町の人々やマコンドの様子が描かれます。なにがこんなにおもしろいのかよくわからないのにとにかくずっとおもしろく、さらに軽く読めるのにかなり濃密な読後感があるという不思議な読書体験が得られます。タイトルからは暗い話を想像するかもしれませんが、基本的に明るく軽快でエンターテイメント性に富んだ作品です。ラテンアメリカの陽気な雰囲気を想像してみてください。マコンドは基本的にそういうテンションの町なのです。

 それでは、いくつかオススメポイントを挙げて紹介していきましょう。

オススメポイント1 壮大な一族の物語

 この物語をすごくざっくり例えるならば、それは「壮大なサザエさん」です。ある町のある一家を中心にして巻き起こる様々なエピソードが次々と描かれており、個性豊かなキャラクター達の魅力があふれています。そして、サザエさんと異なるところはこの物語の登場人物たちは年を取り、それにつれてまた違った魅力を放っていくことです。おじさんになったイクラちゃんがめちゃめちゃ渋くなっている一方で、おばあさんになったサザエさんが相変わらず野良猫を裸足で追いかけてたりするわけです。サザエさんとは異なり年月の経過とともに世代交代も起こります。町の歴史とともにフォーカスされる人物が変わっていく壮大な物語の中で、各世代の魅力的すぎるブエンディア一族が活躍していくのを堪能してください。

 この物語を読む上でのちょっとした障壁として、名前のややこしさがあります。ここでは親や親戚の名前を子に継承する文化があるらしく、何世代にも渡って描かれるブエンディア家の人々には同じ名前の人物が何人もいます。特にアルカディオとアウレリャノはたくさん出てきます。これは一見ややこしいのですが、ある程度短期間で読む分には難なく区別できるようになっているので安心してください。新潮社の本では冒頭に家系図が掲載されており、名前や関係を確認できるようになっています。ただし、この家系図はわりとネタバレを含んでいますので、ネタバレを避けたい人は見ない方がいいでしょう。名前のややこしさに慣れてしまえば、むしろ「今度のアウレリャノはどんなやつかな?」といったワクワクも生じるようになり、作品の重要なスパイスになっていることがわかると思います。

オススメポイント2 幻想的なマコンド

 この物語はファンタジーというわけではありませんし、基本的には現実的な世界観に立脚している風なのですが、ときおり、さも「当然そういうことが起きることもある」というような顔をして幻想的・超常的な出来事がふわっと起こるのです。そうした幻想的な出来事や登場人物の超人的なエピソードを次々と受け入れさせられるにつれて、それが麻薬のように作用してじわじわと脳がふんわりしてきます。そんな幻想的な出来事を受け入れさせるマコンド、ある時期にはあまりにも平和すぎ、ある時期には狂乱に包まれたりするこの舞台そのものがとても幻想的で、でもどこか実在感のある不思議な町として異様な魅力を放つのです。

オススメポイント3 交錯する時系列

  この物語はたくさんの登場人物に次々とフォーカスしながら進んでいきます。ある人物Aの20才から30才ごろの話が進んだのち、また次は別の人物Bの10才から20才ごろの話が進む、という具合です。この手法では時間軸は必ずしも連続しておらず、注目する人物が切り替わるたびにある時点まで引き返したり、逆に先の時点に飛んだりします。これだけ聞くとややこしいようですが、そこはうまく構成されていてついていけるようになっています。むしろ、例えば人物Aの30才のころのエピソードに20才の人物Bがちらっと登場していて、それが次の人物Bの10才から20才の話の伏線になっていたりするのです。たくさんの人物や時点を行き来する物語の中で、そういった伏線が実に巧妙に組まれていることに驚きます。人物伝の集合体として一族と町の歴史が描かれているからこそだと思いますが、そういった複雑な時系列の渡り方がおもしろさに昇華されていることに力量の高さを感じました。

小学四年生たちの評価

たけ ☆4.5

 登場人物が魅力的な人ばかりで、年を取ってからも渋く活躍していくのがとても好きでした。軽く読めるのに濃密で、短編何個分もの壮大な物語を堪能できて大満足です。人物が魅力的(魅惑的)で、人物伝の集合で構成されていて、なんだかずっとおもしろい、というところは映画『パルプ・フィクション』を見た時の興奮と近いものがあったので、『パルプ・フィクション』が好きな人にもオススメです。

むる ☆4.0

   ただ淡々と進んでいく。出来事に大きな意味はなく、ときどき不思議な現象が起こるも、それが理由づけられることもない。細やかな描写からは、南米の暑く乾いた気候や、雨季のじめっとした空気、生き物の生々しさ、人間の汗と体温などがひしひしと伝わってくる。ある一族の人々が生まれ死んでいく様を外側から覗き見ているような感覚で、ついつい読み進めてしまう。お酒の方の「百年の孤独」を飲む機会があれば、自然にこの作品を読んだことをアピールできるのでオススメです。

 

 以上、G・ガルシア=マルケス作の小説「百年の孤独」(新潮社)の紹介編でした。 

 感想編に続きます。

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百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)