イタリアンアルティメットダークネス日記

おませな小学四年生たちが綴るわいわいブログ

ボードゲーム:どうぶつしょうぎ 紹介&感想

 子ども向けといって侮れない、ミニマムだけどちゃんと将棋な「どうぶつしょうぎ」の本気紹介&感想です。

 

 

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 どうも、たけです。 

  僕が1年前に知ってからほぼ毎日プレイしている「どうぶつしょうぎ」について本気で紹介したいと思います。アプリで簡単にできるのでみなさん今すぐやってください。

  • プレイ可能人数 2人
  • ルール説明時間 5分
  • プレイ時間 5分

どうぶつしょうぎとは

 棋士北尾まどかさんがルールを考案し、同じく棋士藤田麻衣子がデザインした、3×4の小さい盤上で動きを簡略化したコマで遊ぶミニチュア将棋です。さすがプロ棋士が考えたというだけあって、シンプルなわりに奥が深い本格的な戦いを楽しむことができます。

ルール

 以下の5種類のコマを使います。

  • ライオン:縦横斜め全方向に1マス動ける。将棋における王。
  • きりん:縦横に1マス動ける。将棋における飛車てきな。
  • ぞう:斜めに1マス動ける。将棋における角てきな。
  • ひよこ:前にだけ1マス動ける。将棋における歩。相手側最奥まで進むとにわとりに成る。
  • にわとり:縦横と斜め前に1マス動ける。将棋における金。

 移動した先に相手のコマがある場合はそのコマを取ることができ、自分のコマを動かす代わり自分のコマとして好きな場所に召喚することができます。「二ひよこ(二歩)」は反則ではありません。

 次に説明する「キャッチ」または「トライ」によって勝利となります。

  • キャッチ:相手のライオンをとる
  • トライ:相手側最奥まで自分のライオンを進める。ただし、移動した次の相手ターンでそのライオンを取られない状態でないといけない。

 また、同じ盤面が3回出た場合は「千日手」として引き分けになります。

実践動画

 百聞は一見に如かず。ここで、実際にどうぶつしょうぎをプレイしている動画をご覧ください。「どうぶつしょうぎウォーズ」というアプリで僕が知らない人とオンライン対戦している様子です。中盤僕が攻め込むのですが、50手目でミスをして、そこからボコボコにされていきます。

www.youtube.com

 このように、簡単化されてはいるものの十分将棋っぽい戦いになるのがどうぶつしょうぎの魅力です。通常20~30手、長くて50手以内で決着することが多く、50手かかるとかなり満足感があります。この動画のように70手を超えるのは稀です。

どうぶつしょうぎの楽しみ方

 どうぶつしょうぎをお手軽にプレイするには、以下の方法があります。

  • 新装版どうぶつしょうぎ
     実際に盤上でコマを手で動かしながら遊べる公式セット。イラストがかわいい。知育玩具として子どもへのプレゼントによさそう。
  • アプリ「どうぶつしょうぎ(公式)」
     有料アプリではあるが安い。レベル分けされたコンピューターと対戦できるためどうぶつしょうぎ修行に最適。友達と一緒にいるときにこのアプリを使ってスマホ上で対戦することもできる。
  • アプリ「どうぶつしょうぎウォーズ」
     オンラインで全国のプレイヤーと対戦できるアプリ。ニックネームを登録するだけで利用可能。レート設定があり、30級から始まって勝利を重ねると昇級、昇段していく。一日6戦までは無料でプレイでき、課金すれば無制限になる。このアプリでの対戦では持ち時間が2分と決まっていて、時間切れになると負け。「ぞう冠」や「きりん無双」など、勝手に型に名前を付けて実況してくれるのが楽しい。フレンド登録しておけば特定の友人とオンライン対戦することも可能。
  • 手作りする

 僕はほぼ毎日「どうぶつしょうぎウォーズ」で6戦消費しています。どうぶつしょうぎを知ってからまずはどうぶつしょうぎウォーズで少しやって、勝てないので「どうぶつしょうぎ(公式)」のアプリで修業したのち、どうぶつしょうぎウォーズに帰ってきました。やはり対人は楽しいですし、時間制限があるのもいいです。「どうぶつしょうぎウォーズ」ではマッチングに時間がかかるとプレイヤーのレートに応じた強さのbotとマッチングされるのですが、僕は対人が好きなので設定を変更してbotとは当たらないようにしています。人口少ないので夜中はなかなかマッチングされません。人口増えてくれ。ちなみに現在の僕のレートは2級です。

基本戦略

 盤面は小さくコマも少ないとはいえ、覚えきれるほどパターンが少ないわけでもありません。ある程度の展開の型はないことはないですが、その型を基にプレイするというよりは大まかな方針をもとに動くことが多いように思います。僕にわかる範囲で基礎的な考え方を少し紹介します。

  • 「ひよこ」と「きりん/ぞう」の交換を狙う
     「自分のコマを取られて相手のコマを取る」「相手のコマを取って自分のコマを取られる」というのが「交換」です。きりん-きりん、きりん-ぞう、ぞう-ぞうの交換はほぼ等価交換なので戦況にさほど影響しません。ひよこを取らせてきりんorぞうを取れるとかなり有利になるので、序盤はこれを狙って動くことになります。
  • 数で勝つ
     「取って→取られる」は交換ですし、「取って→取られて→取って→取られる」も交換です。しかし、「取られて→取って→取られる」では一コマ損することになります。「あるマスに移動できるコマ」が相手に2コマあり、自分には1コマしかない場合、この「取られて→取って→取られる」という展開になりやすいです。前線を相手より多くのコマで睨んでおくことが重要です。
  • ライオンが前に出ると強い
     ライオンが前に出ていると、先述の交換合戦において広範囲に睨みを効かせることができて有利です。さらに隙あらば2歩でトライできます。そのため、例外もありますがライオンは前に出たほうが有利なことが多いです。逆に相手のライオンが一歩出てきた場合はトライを警戒しておくことが大事です。
  • 移動先は残しておく
     どうぶつしょうぎの盤面は非常に狭いです。すると「動かしたくないけど動かさないといけない」という場面がよく生じます。パスはできないので、自分にとって不利と分かっている手を打たなければいけないのです。そうならないように自分のコマの周りが狭くなりすぎないようにしましょう。逆に、焦って攻めなくても待ちの姿勢で控えておくことで、相手がそのような状態に陥って自壊することもあります。
  • 先手を打つ
     王手を打たれると、打たれた側はそれを回避するしかなくなります。その強制力が強いです。例えば等価交換の結果、場に出ているのがお互いライオンだけになり、それぞれきりん、ぞう、ひよこを持っている場合を考えてみます。この場合、双方の持ち駒は同じなので一見対等と思うかもしれませんが、実際は次に打つプレイヤーの勝ちがほぼ確定しています。「王手→よける→王手→よける」 と展開すれば、盤上は「3コマ vs ライオンのみ」というすっかり非対称な状態になるからです。いわゆる「先手を打つ」ですね。「取って→取られて→王手」というような展開は有利に働くことが多いので先手を取っていきましょう。逆に、守りの際は連続して王手されないような逃げ方をするのが大事です。

コンピューターによる解析

 田中哲朗氏による全局面の解析により、どうぶつしょうぎは正しく打てば後手が必ず勝てることがわかっています。実際にはパターンが膨大過ぎて常人にはその全最適手を暗記して打つような芸当は不可能なため、ゲームを楽しむうえでは後手が有利ということは感じません。実際ぼくの「どうぶつしょうぎ(公式)」アプリでの戦績では先手の場合も後手の場合も同じ勝率です。

 これを受け、この最適手を打つアルゴリズムを実装し、絶対に勝てない相手と対戦できる「どうぶつしょうぎ名人」を作った人がいるので、絶望を味わいたい方はぜひ。

d.hatena.ne.jp

 このソフトでは「その手を打つと負けまで残り何手か」が表示されるようになっています。負けまで長い手の方が良い手のような気もしますが、対人で考えると必ずしもそうでもない気がするのがゲームの深いところですね。「手数はかかるが戦略が分かりやすい手」と「手数は短いが戦略が分かりにくい手」であれば、時間制限付きの対人戦では後者の方が強いことも多いと思います。「計算しやすさ」と「思いつきやすさ」はコンピュータと人間の差が出るポイントなのかもしれません。

小学四年生たちの感想

たけ ☆4.0

  ボードゲームをするようになってから、ときどき「ボードゲームが好きだと言っておきながら囲碁、将棋、チェスをやってないのは許されるのか??」という罪悪感のようなものが生じます。全てそれらができないことの誤魔化しなのではないか、と...。そうした気持ちを和らげてくれたのがこの「どうぶつしょうぎ」です。お手軽に「将棋的なおもしろさ」を味わえるのが大変ありがたいです。特に「どうぶつしょうぎウォーズ」では持ち時間が決まっているのがポイントです。相手ターン中に相手の立場から打つ手を予想して対策することの練習になっていて、この基礎能力向上は他のボードゲームでも活かされていると思います。ちょっとした休憩のタイミングに「どうぶつしょうぎウォーズ」でオンライン対戦するのはいい気晴らしです。初段までは行きたい。

むる ☆3.0

  たけに熱烈に勧められてプレイ。最初はこんな少ないコマ、狭い盤面でちゃんとゲームになるのかと疑問に思っていたが、意外とちゃんと将棋になっていたので驚いた。ただ、どうしても相手がミスをするのを待つような形にはなるし、おそらくいくつかの「勝ちパターン」に持っていくことが目標になるという点で、窮屈な印象はある。単におれがこういう完全情報ゲームが得意でないという話でもあるんだけど。短い時間で終わるのは長所だと思う。9×9マスの「おおきな森のどうぶつしょうぎ」というのもあるらしい。どんなゲームなんやろ、と解説を読んで「面白そうやな」と思ったら、普通の将棋のことだった。将棋は良ゲー。

 

新装版どうぶつしょうぎ ([バラエティ])

新装版どうぶつしょうぎ ([バラエティ])