イタリアンアルティメットダークネス日記

おませな小学四年生たちが綴るわいわいブログ

ラジオ:「うたことば」チャットモンチー特集

 どうも、たけです。

 元チャットモンチー高橋久美子がパーソナリティを務める、NHKラジオ「うたことば」の4月21日の放送にて、高橋久美子本人によるチャットモンチー特集が行われました。チャットモンチーの大ファンとしてこれはなので、自分用のメモのつもりでまとめます。

 

 

番組概要

 この番組は、パンサー向井と元チャットモンチーで現作家・作詞家の高橋久美子がパーソナリティを務める番組です。番組HPによると、

様々なアーティストの「歌詞」にスポットを当てる音楽番組です。コンセプトは「あの歌詞に、このエピソード」。皆さんからお送りいただく「お気に入りの歌詞」と「その歌詞にまつわるエピソード」を、フルコーラスの楽曲とともにご紹介します。 

 とのこと。

www4.nhk.or.jp

 毎回あるアーティストを取り上げて、その歌の歌詞について語っているようです。今回はなんとチャットモンチー特集ということで聞いてみました。放送後一週間はNHKの「らじる☆らじる」で聞けます。radikoのタイムフリーでは聞けません。

 

ちょっとした背景知識

 このラジオを聴く前提として必要な、チャットモンチーのちょっとした背景を書いておきます。

 チャットモンチーはもともと橋本絵莉子福岡晃子高橋久美子の3人でメジャーデビューしたロックバンドです。バンドの特徴として全員が作詞することがあります。歌詞はそれぞれが独立して作った歌詞にギターボーカルの橋本絵莉子がとびきりのメロディをつけて作曲し、ベースとドラムの二人と一緒にアレンジを組むという作曲スタイルです。なので同じチャットモンチーの曲でも「誰の作詞か」を見ることでより深く味わうことができます。

 それぞれの歌詞に魅力がありますが、高橋久美子の歌詞も特筆してすごいように思います。脱退後は文筆家となって作詞やエッセイを生業としているだけのことがあります。日常のちょっとしたことを切り取ってどこかドキリとさせるような、でも暖かくて優しい歌詞が魅力的です。前半のチャットモンチーのここぞの名曲はたいてい彼女の作詞です。

 そんな彼女はチャットモンチーを脱退し、しばらくはチャットモンチーとの間にどことなく距離があったというか、やはり「脱退した元メンバー」という風でありました。しかしながら、昨年夏にチャットモンチーが「完結」したことで、メンバー全員が「元チャットモンチー」となるとともにその距離も解消されたように見えます。最後のライブではゲストでドラムを叩くなど、ファンとして遠目に見ていてもどこかすっきりした様子です。なので、今回のように高橋久美子がラジオでチャットモンチーの楽曲を悠々と語るなんてことは、チャットモンチーが完結した今でこそ実現可能となった、待望のイベントなわけです。

 

ラジオでの解説メモ

 では、ラジオで語られた各曲のエピソードについてメモ。

シャングリラ(作詞:高橋久美子

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  • 大学4年生のときに作詞
  • デビューして2年目くらいでシングル化
  • 跳び曲、ライブで盛り上がる曲になっているが、歌詞は繊細なことをうたっている
  • 友達がへこんでいるときに、その友達に贈ろうとして作った曲
  • 「シャングリラ」が「桃源郷」という意味であることを知らずに書いた(あとから知って「そういう意味なんですか!」となった)
  • シャングリラちゃんという女の子に呼び掛けている
  • テレビとかに出だした曲
  • 曲の長さは短め。意図はしていないが、チャットの曲は3:30~4:30くらいなのが多い。ロックバンドの曲はそのくらいのがかっこいい
  • (「この曲何拍子?」という質問メールを受けて)基本は4拍子だけれど、「泣いてくれよ」のところだけ5拍子で、トリッキー

ハナノユメ(作詞:高橋久美子

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  • 「ヒリヒリしとるね この曲」
  • メロディラインがすごくおもしろい。どこで息継ぎしてるんだ
  • 大学4年のときに作詞
  • 鳴門のアパートでリンゴの皮をむいてたら、ナイフで手を切りそうになって、ふと「これが紙切れであっても痛いよな」と思った。生きていくってそういうことだよな、と思った。
  • 生きていって痛いってことだよな、生きていくってそういう実感だよな
  • 「二本足で立つ地球の隅っこ」という歌詞がある。地球は丸いので隅っこはないが、それでも隅っこにいるよな感覚がある。そういう不安があったと思う。
  • そういうものが渦巻いていて、「枯れてしまったピンク色のバラ」とある。ネガティブだな~
  • 明日はきっと水を吸って、明日はきっと元気になろうと自分を励ましているような
  • 「ハナ」が水を吸って元気になることを「ユメ」みているという歌
  • 久々に読み返すと「とがってるな~」と思った

染まるよ(作詞:福岡晃子

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  • (他のメンバーの歌詞を説明することに関して)お互いに歌詞について説明し合うことはない。メンバーにも言えないようなことを、お互いに歌詞を通して知ることが多かった。
  • あっこちゃん(福岡晃子のこと)は恋愛の歌詞がすごくいい
  • (目立ったイベントではなく)好きだった人の癖とかしぐさをふと思い出すことがある
  • この歌詞では煙草を吸うという日常の何でもないしぐさを思い出し、その苦さや後味、煙など煙草にまつわる言葉を自分の中の感情とリンクさせて失恋を描き切った代表作!
  • 改めて読み返して、もう完璧な歌詞、すばらしいじゃないか
  • 歌いだしの部分、 夜道にポツンポツンと立つ街灯への違和感を「無理してるみたい」と表現。すばらしいよね。
  • Bメロ「あなたの好きな煙草 わたしより好きな煙草」もうこの二行で「あなた」がどんな人か全部わかる。
  • 「わたしより好きな煙草」というのが「わたしより好きなあの子」とかよりもずっとリアリティがある。そして煙草にも勝てないわたしという。すばらしい。ここから煙草を起点に感情があふれ出す
  • 煙草というすごい些細なアイテムで彼と私の関係性が見えてくる
  • 重たい歌詞なのに、サビの大部分が「プカプカプカプカ」とまぬけな響き。これによって重苦しくならない。すごい
  • 2番。煙草の火とともにあなたも消える。現実に戻る。孤独感が増していく
  • 2番のサビ「いつだってそばにいれたら 変われたかな マシだったかな」の「マシだったかな」という表現。「もっと続いてたかな」ではなく「マシだったかな」というやさぐれ感、リアル
  • 「煙が目に染みても 暗くても夜は明ける」人間がどうであっても夜はあけるのだ、生きていくのだという希望
  • 一番のサビでは「苦くて黒く染まるよ」だが、最後のサビでは「朝焼け色に染まるよ」。あなたの色に染まっていたところから、新しい朝に染まるという決意
  • 美しい。すがすがしい。完璧な歌詞

8cmのピンヒール(作詞:高橋久美子

  • 思ったことしか書いてない
  • ほんとに夜空が真っ黒な画用紙に見えた。その中にぽこんと穴が空いて(月のこと)、向こう側がほんとの世界のような。その世界から自分たちを照らしてくれているように感じた。
  • 徳島時代に書いた曲
  • きれいな曲
  • レコーディングスタジオで本を読んでいたときに「8cmのピンヒールで歩くのはなかなか転びそうだ」と書いてあり、「これで走ったらえらいことになるな」と思った。そこに前から思っていた「月を真っ黒な画用紙に空けた穴」いう表現を合わせて、恋の歌にしたかった
  • 私自身は8cmのピンヒールをはいたことはない
  • これで走ったら転びそうだけど、そんな恋愛だよなという気持ち。
  • 実体験に基づいている。「リアルは想像を超えるんだ!」という意気込み
  • 夏目漱石月がきれいだ」のエピソードは意識してなかった

親知らず(作詞:高橋久美子

  • 離れてみて親のありがたさって気づくよね
  • 親元を離れて、上京して、電車に乗ろうとしたときに、もこもこすると思ってた親知らずが生えてきてた
  • 親知らずというのは親元を離れた時に生えてくる。「歯が生えてきたよ」なんていう何気ない話をできなくなったころに生えてくる。そのことと親と離れた「親が知らない自分」をリンクさせて書いた曲
  • 最初2行は「歯医者さん行って来いよ」というツッコミが聞こえそうだが、その次から回想に入る。サビにかけて、家族の話にリンクしていく
  • 2番「たまに帰ればご馳走 もう子どもじゃないのにね ああ だけど あなたの子でよかった」こんなこと、歌詞じゃないと言えない。(たくさんのメールを受けて)これに共感するってことはみんな思ってるんだね
  • 26歳くらいのときに書いた
  • (パンサー向井「今親側の世代じゃないですか」)今姉も子供が生まれて、という状況になると変わってくる。そして今は自分が親を支える側になっている。部屋の広さの変化。それでも家族写真は変わらずある。
  • 「この幸せがあなたの幸せであること この悲しみがあなたの悲しみであること」の部分はドキドキする。実家に帰って家族写真を見た時にそう思った。子供を抱っこする父と母の眼がすごくしっかりしていた。幸せでいることが一番の親孝行なんだ。
  • 最後に冒頭と同じ歌詞を繰り返すが、物語を経て意味合いが変わってくる

風吹けば恋(作詞:高橋久美子

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  • かっこいい曲ですね。疾走感はんぱないですね
  • なかなかアレンジも凝っている。音楽的にも3人ともすごい成熟した中で作っているので、各パートのアレンジがトリッキー
  • 10年くらい前の曲なので、もう別のバンドの曲聞いてる感じでも聞ける。「とがってるわ~」と思う

majority blues(作詞:橋本絵莉子

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  • えっちゃんが書いた歌詞
  • 二人体制になってからの曲で、最近(2016)
  • えっちゃんの自叙伝のようになっている歌詞
  • 自分の音楽の自伝的。えっちゃんの日記を読んでいるように細かく描かれている。これが初期の作品ではなく、後期の作品で出されていることにグッときた。今でもそうやって走馬灯のように思い出すような、長く続けたからこそ。
  • 昔の自分のことを離れたところから見ている
  • サビ「みんなと同じものが欲しい」「みんなと違うものも欲しい」 ライブハウスという特別な場所を知ってしまった少女のリアルな気持ち。高校生くらいってみんなと同じものを持ちたい気持ちと、違う部分を持ちたい気持ちに目覚める。そうやって音楽との出会いが描かれている。
  • 2番は状況について。「東京は思ったより近かった」「徳島は思ったより遠かった」距離的には同じなのに遠く感じる。上京した人にはひびく感覚。
  • 徳島という地名をえっちゃんはあまり出さない。ステージの上ではかっこよくありたいから徳島という名前は歌わないというのがあった気がする。これまで積み重ねたからこそ出る言葉で、重みがある
  • 最後のサビ「あなたを守る人は私」というのが気になった。未来の私を作れるのは今のわたし。えっちゃんは感覚的な詩人だなと思った。
  • メロディラインもものすごくおもしろい。トロッコ列車に乗っているような、うにゃうにゃうにゃっとしたライン。

サラバ青春(作詞:高橋久美子

  • 最後の武道館の最後の曲。泣きますよね。最後の曲が最初のデビューミニアルバムのこの曲。涙なしには聞けなかった。みんなの鼻をすする音と嗚咽が武道館に充満していた。みんなの青春だったんだよと思った。

砂鉄(作詞:高橋久美子

  • チャットモンチーのラストアルバム制作にあたり、えっちゃんから連絡が来て「今ならかけるかも」と作詞家として依頼を受けた
  • いつもは1週間あれば書けるが、一か月半かかった
  • いろんな思いが溢れすぎて、何個も書いて、最終的に二つ出して、えっちゃんが砂鉄を選んだ
  • お父さんお母さんにもありがとうとはなかなか言えないけれど、(チャットモンチー)の二人にも言えない。その気持ちを歌詞にした
  • 解説なんてできないけれど、ストレートの気持ちを歌詞にした
  • 絶妙な距離感。友達でもない。
  • 「同じクラスだったら友達にはなってないだろうな」気が合うとかそういうことではない。「好きでも嫌いでも好きさ」

くみことば 手書きメモ

 下記サイトに、高橋久美子が歌詞カードに書き込んだ直筆メモがアーカイブされています。かなりいいです。

www.nhk.or.jp