イタリアンアルティメットダークネス日記

おませな小学四年生たちが綴るわいわいブログ

ボードゲーム:ガイスター 紹介&感想

 二人用の古典ボードゲーム「ガイスター」の紹介と感想です。

 

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概要

  • プレイ可能人数 :2人
  • ルール説明時間:3分
  • プレイ時間:10~20分

 コマを取りあいつつ取らせあう、ブラフと推理がポイントの二人用ボードゲームです。ルールはとても簡単です。

 背中に青丸がついた「良いオバケ」のコマと、背中に赤丸がついた「悪いオバケ」のコマを使います。これらのコマは同じ形をしており、青丸/赤丸がついた背中を自分側に向けて置くため、互いに相手のコマの種類はわかりません。6×6マスの盤面上でこれらのコマを動かして戦います。

 まず、各プレイヤーは良いオバケ悪いオバケを4コマずつ自陣手前の2×4マスのエリアに好きな順で配置します。下の写真は初期状態の一例です。

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 どういう配置にしたかの推測はもう始まっていますが、ここからが本番開始。交互にコマを動かしていきます。1ターンに動かせるのは1コマで、どのコマも縦横いずれかに1マス動けます。相手のコマがあるマスに移動することで相手のコマを取ることができます。取ったコマを使うことはできません。

 次の3つの条件のいずれかをクリアすれば勝利です。

  1. 相手の「良いオバケ」をすべて取る
  2. 自分の「悪いオバケ」を相手にすべて取られる
  3. 自分の「良いオバケ」を相手側の脱出口から外に出す

 1と2の条件というのは、つまり「相手の良いオバケは取りたい、でも悪いオバケは取りたくない」ということです。相手のコマの動きからどちらのオバケなのか見抜く必要があります。逆に言うと「自分の良いオバケは守りたい、悪いオバケは取らせたい」ということであり、いかに相手を騙して自分のコマの種類を勘違いさせるかがポイントです。

 3の条件について説明します。四隅のマスは脱出口になっています。角のマスに乗った後、次の移動で外に出ることで脱出になります。相手側の左右にある脱出口のどちらかから「良いオバケ」を逃がすことができても勝利できます。

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 これにより「脱出口を狙ってくるコマは良いオバケっぽいな」と推測することができます。もちろんその裏をかいて悪いオバケを脱出口に向かわせたり、さらにその裏をかいて...というゲームです。また、脱出口の守りが薄かったり、自分の生きたコマが少なくなると、読み合いとか関係なく突破して脱出されることもあるので要注意。将棋やチェス的なコマの移動戦略も重要です。

 

小学四年生の評価

たけ ☆5.0

 全員買うべき。所持した上で、新たに購入してエフに誕生日プレゼントとして送り付けました。「二人用/軽い」という枠のトップに君臨。

 シンプルなルールでしみじみおもしろいゲームが好きな傾向にある。例えば「ゲシェンク」もそういう印象。序盤は情報がないので適当に相手のコマを取るしかないが、その時の色から相手の性格や作戦のヒントを得ることができる。そういった情報の滲み方がとても程よいと思う。また単純に生きたコマが多いと有利で、数で押し切って脱出を狙ったりできるところがゲームの深みを増している。予想が当たった外れたの一喜一憂だけでなく、こういう戦略性によって長く何度も楽しめるゲームになっている。自分の好きさに対して周りの温度が低く、寂しい思いをしています。

 

むる ☆3.5

  2人用ゲームの古典的作品。コマの配置や動かし方に性格が出る。考えを読むだけでなく、性格を読み切ると勝てるという印象。赤コマを全部取らせて勝つのが簡単に思えるが、単純にコマ数で数的優位な状況を作られると困ることも多い。最後の方はコマの読み合いというよりは、自軍の青コマをいかにゴールさせるかを考えつつ、小競り合いを続けていく展開になりがち。チェスや将棋などで、丁寧に先の展開を考えるのが苦手なので、そんなに好きなゲームでもない。もっと運要素があるやつがいい。とはいえ、わかりやすい性格の人間同士でやってるとお互いアホな動きをしてしまったりして楽しい。たけがやたらと好きでやろうやろうと誘ってくるけど、きちんと詰めて考えてプレイする人とやるのはしんどいのであまり気乗りはしない。あと全然勝てないし。誰か相手をしてあげてください。

 

ガイスター (Geister) ボードゲーム

ガイスター (Geister) ボードゲーム

 

 

 

 

「パターンアンホワイト」を書いて/読んで

 昨日更新したざわ作のオリジナルSFショートショート小説「パターンアンホワイト」を書いた人と読んだ人の所感です。

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あとがき

ざわです。皆さんがパターンアンホワイトを読んでくれた5〜10分を楽しいものに出来たなら嬉しいです。

 

さて、僕がSFを書いた動機は、テッドチャンの「あなたの人生の物語」と藤子・F・不二雄のSF短編集を読んだことによって生じました。この二作品は本当に良いのでそのうちクラスメイトのたけとむるが紹介してくれると思います。仮にも理系小学生で科学に親しんだからには少なくとも一つはSFが書けないとかっこ悪いなと感じました。それで一つ書いてみたんです。いやでも難しいですね。設定に細かい穴があったりや一貫性が欠けたり、一方を修正すればもう一方が破綻したり。今回の作品にも細かい(もしかしたら細かくないかも)穴があると思いますが、皆さんの頭の中で埋め合わせてもらえると助かります。文章や設定力を上げるので、その時を楽しみにしてて下さい。

 

今回の作品の着想は小学校に公演に来た、ライオンが自動餌生成装置を手に入れ、それに頼り切った末に狩りの能力失う劇、機械学習に質の悪いデータを用いても質の悪い予想しか出来ないという夏休みの自由研究での教訓、ネットで見かけた「フォルカスの倫理的な死」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881239629/episodes/1177354054881239634)を読んだ感想が悪魔合体して出来た作品です。

 

タイトルのパターンアンホワイトとは、直訳すれば「白ではない型」という意味になります。ホワイトノイズというのが規則性のない雑音を指すことから、規則性のある雑音という意味になります。だから、僕の中のではみんなもこの音声記録を聞き取れてないという設定です。(ノイズアンホワイトの方が良かったかな?でも読み終わった後にタイトル見てちょっと感心させたかったからネタバレ的なタイトルに出来なかった)。

研究をしているとノイズの中に意味を見出そうとする失敗をすることがあるのですが、ノイズと思われるものの中に何かメッセージがあって欲しいなという願いも込めてます。

皆さんも模様や音の中のノイズを見るたびに本当は規則があるのかもとか遊んでみて下さい。

さようなら。

 

小学四年生の感想

むる

  ざわ文学第一作。ざわが最近SFを書いていたのは知っていたが、思っていたより本格的だったので驚いた。まず読んで、これはテッド・チャンの影響を受けているなと思った。ざわが「あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)が好きなのは知っていたので、なるほど、と。外国人とのディスコミュニケーションは我々も経験する日常的な出来事だろうし、エイリアンとのファーストコンタクトと、そこからなんとかコミュニケーションを取ろうとする話はSFでは珍しくもない。ただ、この作品では、言語の壁が対立を生んでいたというところから、同言語でのコミュニケーションでも翻訳機を通すことで、対立がなくなっていく展開になっているのがおもしろい。そもそも我々はTwitterでの議論などを見るまでもなく、言語を共有しているからといってそこに持たせた意味までも正確に共有できているわけではないし、同じ言語を喋っているからといって、本当に同じ「言葉」を喋っているのかどうかは疑わしいということは、日常的に経験している。そうした、一見成立しているかのように見えるコミュニケーションの裏にあるディスコミュニケーションを描こうとしたのがこの作品のポイントだろう。最終的には、あらゆる言葉があらゆる意味を網羅した結果、言葉が意味を失う。言語とは限定的なものであり、その不自由さゆえにコミュニケーションが可能であるという逆説を示している。もちろん表現には向上の余地があるだろうし、隅をつつけば設定の甘いところも出てくるかもしれないが、アイデアのおもしろさはそれらを十分にカバーしているように思う。孤独とコミュニケーションという、ざわらしさがよく表れた作品。いつもディスコミュニケーションを繰り返してるだけあるな。次回作にも期待しています。

 

 たけ

 ざわポエムは何度か読んだことがありましたが、ざわ小説は初めてでした。読んでみるとちゃんとハードSFでおもしろくて感心しました。文章力の物足りなさや設定の粗なんかが目につきはしますが、そこはあまり気にせずアイデアや目指すもののおもしろさを十分楽しむことができました。「あなたの人生の物語」を読んでSFを書きたくなるというのはよくわかります。理系小学生として、科学の原理や概念というのをあれほど見事に適用して物語に昇華させることには憧れを抱きます。今回のざわSFでは機械学習を軸に言語について考察するような内容で、同じ香りが漂っていますね。

 AIが仕事を奪うだとか、ロボットが人間に反逆するだとか、そういうよくあるディストピアではなく、機械翻訳の発展の先にあるディストピアを考えたのは新鮮でいいアイデアだと思います。同時に「同一言語話者でも実際は各個人特有の言語を話していると言える」という皮肉や、「機械翻訳の究極版はそれすらカバーすることになる」という考えもおもしろい。機械翻訳によってある意味で言語を統一し、発展が加速した人類が、その結果言語をバラバラにされ崩壊するという展開は「未来版バベルの塔」というかなりきれいなオマージュになっているところが美しく、超高得点。

パターンアンホワイト

 誰が読むのか、いや誰に読めるのかは分からないがここに事の顛末を示しておく。言葉の意味が失われたからこそ、最後の抵抗として録音しておきたいのかもしれない。


 事の始まりは、大きく遡れば機械翻訳が着想されたことによる。機械翻訳とは、ある言語で書かれた文章をアルゴリズムによって別の言語に書き換えることである。第1段階の機械翻訳のシステムでは、単語の意味を集めた単語訳データベースと文法の組み合わせによって翻訳を行なっていた。しかし、この方式では翻訳の精度はそれほど高くなく、第1段階の機械翻訳システムはさほど有用ではなかった。研究者が研究のために研究する、ありふれた研究分野の一つに過ぎなかった。


 ディープラーニングの適用により機械翻訳システムは第2段階に突入する。多量の対訳文章のデータとディープラーニングにより文章内の語順から単語と単語の関係を定量的に捉えられるようになり、単語を多次元空間における数値化、すなわちベクトル化する事が可能になった。このベクトルを単語ベクトルと呼ぶ。他言語に翻訳するときは、翻訳元の単語ベクトルを、翻訳先の言語空間での単語ベクトルと比較し、最も一致度が高いものを対訳語として出力する。この手法により、多少違和感があるものの、文章の意味は原文から大きく外れることなく翻訳できるようになった。有用性、将来性が認められ、あらゆる国家が自国言語と他国言語の対訳文章データを積極的に蓄積し、機械翻訳の精度は徐々にだが確かに向上していった。また音声認識機能を搭載した携帯電話と併用することで自動で翻訳することが可能になり、異言語話者との会話が同一言語の共有なしに出来るようになったのだ。

 

 人類は言語による桎梏から解き放たれた。他言語を習得せずに他言語話者と話すことが可能になった。他言語間交流は自動翻訳以前にも可能だったが、実際は可視化されにくい様々な障壁によって阻まれていた。言語の習得は本人の努力だけではなく、所得や、文化資本などの環境にも依存する。この障壁が打破されたのだ。これにより本当に素晴らしい変化が起きた。社会のあらゆる階層の人々が、他言語話者と交流するようになった。交流は刺激であり、刺激はきっかけになる。言語は思想、文化を養うため、異なる言語の間では異なる思想、文化が育つ。異なる言語圏の様々な文化が深い次元で融合した芸術が隆盛した。特に自動翻訳の恩恵を受けたのは、歌詞だった。この時代以降の歌のなんと心地良いことか。あるゆる言語の音の響きの心地よさと語の選択の自由度による自由な韻と多彩な詩的表現。自動翻訳以前以後では歌詞の美しさに大きな隔たりがある。自動翻訳の恩恵はもちろん科学分野にも波及した。発想のより根源的な部分を共有できるようになり研究などの高度な知的活動もさらに活発化した。社会の発展の速度は急速に加速した。

 

 ここで面白い報告が上がった。自動翻訳を介して会話する人の間での犯罪率が、それ以外の人々の間、同一言語間の人の間での犯罪率を下回ったままだったのである。昔から異言語話者間での犯罪率は低かった。これは先ほど述べたように異言語間交流が可能な人々は所得が高い傾向にあり、犯罪を犯す必要がない所謂、「洗練」された人々だった。しかし自動翻訳以後では所得にほぼ関係なく異言語間交流が行われた。普通に考えれば異言語間、同言語間での犯罪率は均等になるはずだった。しかし、現実は違った。異言語話者間の犯罪率は低い状態を維持したのである。

 

 この現象を説明するために有力な説が上がった。自動翻訳を用いる事で「誤解」がなくなるという説だ。人々の言葉の使用法はその人が今まで接した来た言葉に大きく依存するため、同じ単語でもその指し示す意味は微妙に異なる。この微妙な差異のために、似た意見を持つ人の間でも不必要な対立が起こる事が多々あった。そして不幸な場合、その対立が原因で犯罪が起こった。

 

 この説を検証するために同言語間話者の間でも自動翻訳を用いるようにした。これにより、データベースに収録されている言語の使用法に統一されるため、同一言語話者間の語彙の微妙な差異が強制的に修正されるようになった。同一言語話者の間でも異言語話者の間程度の犯罪率に低下した。説は正しかった。この説が立証された後、全ての人々は自動翻訳を介して会話をするようになった。法律で定めなくとも人々は自ら自動翻訳を使った。大抵の人間は争いを好まない。自動翻訳を使用しない人々は闘争的、犯罪者予備軍との誹りを受け、話しかけてもらえなくなった。彼らは自動翻訳を渋々使うか、孤独に殺された。

 

 自動翻訳機を介在させることで意味を強制的に擦り合わせることが可能になったが、この方法では新しい単語や新しい単語の使用法が生まれないことになる。これは言語の可能性を切り捨てることになるため対策方法が模索された。以下のような手法が提案され、採択された。まず、デバイス使用者の単語の使用法を全て記録、解析し、使用者の言語空間内でベクトル化する。つまり、それぞれの人が、それぞれの人専用の言語を持つと捉えることにしたのである。単語の音の配列がデータベースにない場合はこの単語を新単語して言語ベクトル化し登録する。既に存在する単語が解析、およびデータベースとの比較の結果、新しい使用法として使用されていた場合、その使用法を学習する。データの入力は音声認識システムを用いて行われたので、単語というより空気振動の波形という方がより正確な表現になる。


 こうして全ての個人が他人とより深いレベルで交流する事が可能になった。社会はその発展の速度をより加速した。そしてその後、百数十年経ち、唐突に社会は崩壊した。誰しもが会話不可能になった。個人の使用履歴に根差した単語(空気振動の波形)の使用法を記録し、データベースとして用いたせいで単語の示しうる範囲が少しずつ広がっていった。単語の示しうる範囲の拡大速度は、現在その単語が示しうる単語の範囲に比例していた。つまり指数的に広がっていった。そして一つの単語は発散し、もはや森羅万象を表しうる状況になってしまった。人々は自動翻訳の使用をやめたがもう遅かった。どの声帯が発する音も単なる呻き声でしかなかった。機械による音声の認識に頼ったせいで、誰も同じ音を発せなくなっていた。文字の使用はだいぶ前に不可能になってしまっていた。表音文字は各個人が用いる音が完全に異なってしまっていたため機能せず、表意文字は多義化する言葉や新しく生まれる概念に追いつけなかった。そして何より人は誤解を恐れ、音声と自動翻訳による意思疎通に一本化、特化しており、文字を捨てていた。この時の人類は意思疎通が出来ないという恐怖に耐える事が出来なかった。初めて遭遇する状況だったからだ。不運な事故が悪意と解釈され、誤解と不安は蔓延し、あらゆる個人の間で殺し合いが起こった。音を一から擦り合わせる忍耐を持つ人間などそうはおらず、他人を見かけた場合は殺すか、逃げるかの二択が最適行動になってしまった。こうなっては人間の集合体である社会など構築のしようがない。人類社会は崩壊した。


 以上が事の顛末である。私は一人でここに私専用の言葉で、私ではない誰かに向けてこの音声を録音している。実在の人間とは誰も意思疎通が出来ない状況で、孤独を紛らわせる唯一の方法がこれなのだ。誰かにはこの言葉が通じると信じたいのである。私の言葉が誰かにはノイズではないことを信じたいのである。

 

 

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ボードゲーム:Onitama 紹介&感想

ボードゲームカフェでプレイしたボードゲーム「Onitama」の紹介と感想です。

 

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概要

  • プレイ可能人数:2人
  • ルール説明時間:2分
  • プレイ時間:5~15分

  5×5マスの盤上で行う変形チェス。互いに5コマを一番手前に並べ、真ん中が王の状態でスタート。相手の王を取るか、相手の王の初期位置にある玉座の位置に自分の王を到達させるかすると勝ち。ポイントはコマの動かし方が絶えず変動することです。ゲームの初めにコマの動かし方が書かれたカードを5枚ランダムに選び、プレイヤーがそれぞれ2枚ずつ持ち、1枚は場に浮いている状態にします。プレイヤーは「動かすコマ」と「動き方のカード」を選び、その選んだカードに書かれた動けるマスの範囲でコマを動かします。動かしたらそのカードを浮いているカードと交換し、相手のターンに移ります。

  動かし方のカードは使用すると次は相手にも巡るため、トリッキーなものは温存しておいたり、ここぞのタイミングで不便なカードが相手に渡るように調整するなどして勝利を目指します。iOSAndroid OSで無料アプリが出ているので、気になった方はお試しあれ。

小学四年生の評価

たけ ☆2.5

  コマの動かし方が流動的というアイデアはおもしろい。トリッキーな動きのカードが出ると楽しいが、結局相手もそのカードを使うことになるのでいまいち力が発揮されず、ほどよくもどかしい。ある時は桂馬のような派手な動きができる一方で、カードの組み合わせによっては横に動くだけのことすらできなかったりする。先を読むのがむずかしく、適当に指しながら「ん?これ勝てるのでは?」となって2手分くらい考えてゲームが終わる展開になり、「詰めた」という爽快感があまりない。

むる ☆2.5

  初プレイ。アイデアは面白い。ただカードの組み合わせによるゲーム性の変化が大きく、地味なセットだとパッとしないことも。全ての向きで斜め移動できる「猿」というカードが強く、セットに含まれた回ではそれを温存して相手に使わせず追い詰めていくゲームになっていた。カードの循環はきちんと考えれば分かるのだが、先を全て読んでプレイするには考えないといけないことが多すぎて、結局勘で判断する場面も多かった。苦手なタイプのゲーム。カードにすべて動物の名前がついてるので「どうぶつしょうぎ」みたいなもんです。

 

 

 

 

 

大伴亮介『ワンシーン画 大全集 Vol.1』紹介&感想

 どうも、たけです。

 大伴亮介『ワンシーン画 大全集 Vol.1』の紹介と感想です。

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 表紙は「落ちたハミガキ粉の上の方だけ救出するシーン」です。作者の大伴亮介さん(@R_OTOMO)はフリーのデザイナー・イラストレーターの方らしく、ツイッターでのこの「ワンシーン画」を発表されています。

 上質...。こういうのが本にまとめられたのが『ワンシーン画 大全集 Vol.1』です。紹介しといてなんですが、完売していて増刷の予定もないそうです(2019年2月5日現在)。Vol.2に期待しましょう。

 

 これは要するに「あるあるネタ」かと思います。あるあるネタというのはみんなが知っていることでなければならないのに、同時に「ベタではいけない」というジレンマの中で輝きます。高度なあるあるたるには「普段は気に留めないが、言われればピンとくること」を突く必要があります。「あるある」なのにその核は「意外であること」なのです。遅れてピンとくる快感があるあるの魅力です。

 大伴亮介さんのワンシーン画ではそんな絶妙に「あるある」なシーンを切り取っています。その目の付け所の良さもさることながら、表現方法としてこの絵柄でのイラストというのが強力な相乗効果を発揮していると思います。線や陰影のないシンプルな表現であるが故に、イラストを一目見ただけでは「様子はわかるがテーマはぼんやり」くらいの理解度になります。そこにあるあるなタイトルが効きます。タイトルの助けによってイラストの内容が明瞭になります。この時、「あるあるがピンとくる」と「イラストがピンとくる」が同時に押し寄せることで快感が倍増されるのです。イラストが「ボケ」でタイトルが「ツッコミ」という見方もできそうです。霜降り明星のようなボケを解説するタイプのツッコミですね。

 

 『ワンシーン画 大全集 Vol.1』ではタイトルは小さい文字で隅に書かれていて、タイトルは読もうと思わなければ読めないようになっています。まずイラストを堪能したのちにタイトルを見ることで万全の快感を得られます。イラストだけ見てなんのシーンか考える時間も楽しいです。また、イラストの大きさや配置がよくデザインされており、掲載順に仕掛けがあったり、カラーテーマを統一したページがあったりとイラスト集としての魅力もたっぷりでした。 

  

 以上、大伴亮介『ワンシーン画 大全集 Vol.1』の紹介と感想でした。作品を紹介しながらフェードアウト。

ボードゲーム:王と暗殺者 紹介&感想

ボードゲームカフェでプレイしたボードゲーム「王と暗殺者(Tod dem Tyrannen!)」の紹介と感想です。

 

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概要

  • プレイ可能人数:2人
  • ルール説明時間:5~10分
  • プレイ時間:15~30分

 王陣営と村人陣営をそれぞれ担当して戦う2人用ゲーム。重税に苦しむ村人陣営は暗殺者を使って王の殺害を目指し、王陣営は王宮への帰還を目指します。

 王陣営は王+騎士7人の8コマ、村人は暗殺者3人を含む12人のコマをそれぞれ動かします。王陣営は村人12人のうち誰が暗殺者かわからないため、怪しい村人を推理してうまく攻撃を避けながら王宮を目指すことになります。各プレイヤーは与えられたアクションポイント(AP)を消費して動かします。APは主に移動に使いますが、王陣営は村人の逮捕や暗殺者の殺害、村人陣営は暗殺者による騎士や王の攻撃にも使います。攻撃するには暗殺者であることをカミングアウトする必要があるため、ただの村人のふりをしてなるべく近づいたところでカミングアウトし、スッと近づいて王を切りつけます。逆に、王陣営の方は怪しげに近づいてくる村人を事前に逮捕したり、王に近づけないようにうまく騎士を配置して守ります。1ターンに使えるAPや村人を逮捕できるタイミングがカードによってランダムに決まるため、状況を見て臨機応変に対応しながら「暗殺者が誰か」を鍵にした心理戦を行います。また、盤上には地面と屋根の区別があり、「屋根に上るには2AP必要だが屋根から降りるのは1APでよい」というルールがあるため屋根の使い方が重要です。

 

小学四年生の評価

たけ ☆1.5

 むるとやって2戦2敗。いまいち掴めないまま終わってしまった。苦手。どうも運要素が大きすぎる気がして気に食わない。むるはいろいろ考えてやってたようなので、僕が考え方を理解できなかっただけの気もする。序盤はほとんど勘で村人を逮捕するしかないが、そこで暗殺者を当てれるかどうかが勝敗に大きく影響しすぎるため、運要素が勝敗を左右しすぎるイメージになっている。逮捕できるタイミングもカードに依存するため、運要素が大きい。「王に攻撃可能なのに攻撃してこない」というのが暗殺者でないことを確信する唯一の方法だが、これはその村人が暗殺者だった場合には攻撃されているということなので、積極的に試すことはできず、結局運でしかないように思ってしまう。このゲームをやるならガイスターをやるべき。ガイスターはとてもいいゲーム。ガイスターは好き。ガイスターを見習ってほしい。

むる ☆3.5

  初プレイ。たけと王サイドと暗殺者サイドを交代して2戦やって2勝。ガイスターに似ている作品、ということで紹介されたが、個人的にはガイスターよりも好き。王サイドの場合、相手の怪しいコマを拘束できる距離を確保して牽制しつつ、兵士で王を守りながら道を作っていく。暗殺者サイドでは、いかに暗殺者を屋根に乗せるかがポイントであるように思った。屋根から降りる際にはAPを消費しないことと、暗殺者側の方がターンごとの総APが少ないため、最短距離で攻めないといけない。いかにダミーの村人を暗殺者に見せかけつつ、関係ない村人を邪魔になる位置に配置して兵士の動きを制限するかが重要か。運要素は確かにあるものの、相手の動きを見れば、おおよそどのコマが暗殺者なのかが分かる場面があり、ちゃんと駆け引き要素があった。非対称系ゲームの良作。

 

王と暗殺者 Tod dem Tyrannen! 並行輸入品

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ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』 感想編

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア作のSF小説たったひとつの冴えたやりかた』(ハヤカワ文庫SF)の感想編です。

 

紹介編はこちら。

shogakuyonensei.hatenadiary.com

 

たけ、むるが読みました。それぞれの感想です。

※以下、ネタバレを含みます

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