イタリアンアルティメットダークネス日記

おませな小学四年生たちが綴るわいわいブログ

映画:「トレインスポッティング」「T2」感想

 どうも、たけです。

 映画「トレインスポッティング」、および続編の「T2 トレインスポッティング」を見た知り合いが感想を送ってきたので転載します(R15なので小学四年生の僕は見れません)。

 

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 よく名前を聞く映画なので見てみたが、予想以上に良かった。序盤のトイレに潜るシーンでやられてしまった。イカした音楽に、イカした映像、イカれた奴らとイカれたドラッグ...。とにかく各キャラが魅力的で、彼らが何かするのを期待してしまう。そしてそういうときに流れる音楽と映像のテンポの良さ(そしてヘロインの注入のグロさ)にワクワクが止まらない。中毒性があった。

 抜け出そうとしても、仲間は悪気なく自分を逃がしてくれず、またどん底へ引きずり込んでくる。抜け出すために、結局ワルいことをするしかない。結局ワルなのだ。そんなどうしようもない物語なのだけれど、登場人物たちの諦念とともに妙に軽快に物語は進んでいく。彼らが家族と良好な関係でいるのも印象的だった。グレるとかじゃないのである。

 とにかく音楽と映像がよかった。主人公のあの表情がたまらない。「8 mile」のエミネムにも感じたので、ああいう坊主頭のワルが地元に諦念を抱いて抜け出そうとしているときの気だるい表情に弱いのかもしれない。ぴちぴちのTシャツ、かっこよかった。

 

 続けて、続編の「T2 トレインスポッティング」も見た。これリアルタイムで「トレインスポッティング」を見た人が、20年後に同じキャストで彼らの20年後を描いた「T2」が発表されたらたまらんやろうな、と思いつつ。

 かなりよかった。こうなるともうセットで完成やね、という。結局彼らは抜け出せなかったどころか、そこが居心地よかったのである。最初の作品の冒頭の映像のオマージュでT2は締めくくられる。戻ってきた。たまらないね。

 みんながおじさんになった分、前作ほど刺激的な感じはなかったが、その分「変わった部分」と「変わってない部分」の対比がおもしろかった。前作の映像が挿入されるのもそうした部分を強調していてわかりやすかった。

 ベグビーの「時代は変わるが、人は変わらない」というセリフにしびれた。本当にみんな変わってなかった。懐古的であるし、過去に生きている。そういう生き方しかできない。レントンとシックボーイが過去にことをまくしたてて話すシーン、こういうところの映像の作り方がほんとうにすごいと思う。また、レントンが今の世の中についてまくしたてるシーン。「人生を選べ」、彼らはもう選べていない。

 「T2」ではベグビーが本当にやばい災害として登場していてしびれた。大人になればなるほど、ベグビーは本当にやばい。やばすぎる。それらと比べてレントン、シックボーイ、スパッドはずいぶんしっかりちゃんと友達であって、結局いごごちがいい。初めてヘロインをやった時の針も、初体験の女性も、いろんなことを共有してきた彼らの繋がりはあまりにも強固すぎる。

 

スパッドはいいやつ。

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以上、大人になったら見よっと。

チープパスタ道

 どうも、たけです。

 以前食費節約のためにパスタばかり食べていることを書きました(→最近の食費節約戦略)。それからパスタの調理法がいくらか変化したので、改めて紹介しようと思います。

 

チープパスタ概要

 まとめ買いしたパスタにまともな範囲で最安クラスのパスタソースをかけて食べる節約食、それが未来世紀サクライのジンさんに「チープパスタ」と名付けられてしまいました。僕の中では依然「チープ」というよりは「コスパがいい」という認識です。

 以前はマジで毎晩食べてましたが、今は何か特別食べたいもの(マクドかラーメンか松屋)があるときはそれを食べに行き、別にそういうものがない時にパスタを食べているので、週5くらいです。お腹を満たせればいい食事はパスタにしています。僕は麺類が好きなので麺類をたらふく食べると満足度が高いです。

 食べたくなってからすぐ準備してすぐ食べれるのもいい感じです。例えばお米は事前に炊いておいたとしても、炊き終わったときに依然ご飯を食べたい気持ちかどうかわからないので(まだ自分でお米を炊いたことがありませんが)。

パスタソースの選定

 僕は基本的に一度に二人前食べます。朝食にパンを食べるのが続かなくなって今は基本的に一日二食で、お菓子+一食の日も多いので一度の量が多めになります。以前記事を書いたときは一人前ごとに包装されたタイプのパスタソースから選んでいたのですが、それだと麺に対してソースが薄すぎました。そこでもともと二人前分で包装されたソースに視野を広げたところ、より安くて良いパスタソースを発見したので、今はそのHachi食品のたっぷりパスタシリーズを買っています。

www.hachi-shokuhin.co.jp

 近所の業務スーパーだと1パックで90円くらいです。麺と合わせると1食特盛で120円程度でしょうか。そのスーパーにある中から選んでいるので全部は試していませんが、ミートソース、明太子クリーム、あさりコンソメはイケてると思います。カルボナーラはいまいちです。

調理法の変更点

茹で方

 以前は電子レンジで茹でるための容器を使っていましたが、これだと両端で麺がくっついて堅い塊になってしまう問題がありました。今はちゃんと麺がばらけるだけの容積があるフライパンで茹でています。鍋だと水がたくさん必要になるので水をためるのにも水を沸騰させるのにも時間がかかります。フライパンだと鍋より水は少なくていいので効率的に沸かすことができますし、麺も横向きでまるごと入ります。

麺の種類

 以前は太い麺と細い麺を買って、気分やソースに合わせて使い分けようとしたこともあったのですが、太い麺は茹で時間が長すぎて苦痛なのでやめました。細い麺がいいです。今は茹で時間4分の麺を使っています。

調理手順

 では、具体的な調理手順を説明していきます。なるべく少ないアイテム少ない手数での調理を目指しています。台所の初期状態はこんな感じです。もちろんグルメな僕はおいしさの確保も大事にしています。

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1. フライパンに水を入れ、沸騰させる

 水はなるべくたぷたぷに入れておきます。最大火力にして最短時間で沸騰させましょう。パスタを茹でるときは塩を入れるものらしいので、グルメな僕はいちおう入れることが多いですが、入れなくても大差ないと思います。

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2. パスタソースをお皿に移す

 沸騰するのを待つ間に、パスタソースをお皿に出しておきましょう。今回はミートソースにしました。味が選べるって楽しいですね。後でわかると思いますが、下の写真のお皿でぎりぎりのサイズです。

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3. 沸騰したらパスタ投入

 パスタ容器の口を利用して二人前のパスタを取り出して、フライパンに投入します。火は全力のままでいいです。あとで説明しますが、タイマーなどで時間を計る必要はありません。

 パスタの入れ方はいろいろ試しましたが、普通に整列させて入れるのでいいと思います。向きをバラバラにして入れてみたりもしましたが、そうするとパスタ同士が絡まって食べるときにソースと混ぜ合わせにくかったりします。

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4. ソースをレンジで温める

 茹でている間にソースを温めましょう。ここからの工程は麺の茹で時間を計る機能を兼ねています。このソースは500Wで2分30秒ということです。温まったソースが跳ねるので、レンジ内が汚れないように家に落ちていた蓋をのっけてからチンします(ラップをかけるのは面倒)。

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5. パスタを対流させる

 パスタ同士がくっつかないように、また茹で具合がムラにならないように、パスタはお湯の中で対流させるのがいいらしいです。パスタが茹でられて柔らかくなってきたら、整列して塊になっているところを真ん中で二つに分けて、少し調整してやるとドーナツ状になってぐるぐると対流するようになります。対流させるためにも火は強めの方が良さそうです。

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6. 温まったソースを取り出して、蓋を洗う

 そうこうしてるうちに2分30秒経ってソースが温まります。電子レンジから取り出すとたいていソースが跳ねて蓋が汚れてるので、ソースが渇く前に水でさっと流しましょう。それで概ねきれいです。

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7. 茹で上がったパスタをざるにあげる

 さて、パスタを熱湯に投入してからの時間経過は下記のようになっています。この間はあえて急ぐことなくのんびりアクションしています。

  • +10秒 ソースに蓋をしてレンジに入れて、レンジをセットして温め開始
  • +2分30秒 ソースをレンジで温める
  • +20秒 ソースを取り出して蓋を洗う

これで3分です。僕が使ってるパスタの茹で時間は4分ですが、 固めが好きでもあるので3分ちょっとでいいことにしています。電子レンジでのソース温め時間をベースにすることでタイマーなどをセットする手間を省いています。

 あとはフライパンからざるに麺を上げましょう。水っぽくなることを防ぐためにも、お湯はしっかり切ったほうがいいです。

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8. 盛り付け

 最後、パスタをお皿に移して完成です。おいしそうですね!

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 フライパンとざるはこのあとさくっと水洗いしてます。塩水とパスタだけですし、どうせまた翌日塩水とパスタに使うだけなので、特に洗剤もスポンジも使わずに水で流すだけにしています。今のところ特に問題は起きていません。

 

 以上、早い安いおいしいパスタの作り方でした。ちなみに最強のチープパスタは茹でた麺に麺つゆをかけて食べるやつです。

音楽:Moe and ghosts

 どうも、たけです。

 最近がっつりハマっているHIP HOPグループのMoe and ghostsを紹介します。めちゃめちゃ好きです。ハマってからはほぼ毎日アルバム聞いてるほどで、オススメ度はかなり高いです。

moeandghosts.com

 

 ラップ担当の萌とトラック担当のユージーン・カイムの二人組のHIP HOPユニットです。カテゴライズ不能な、ちょっとスピリチュアルで独特の世界観が魅力的です。個性的な緩急で次々と言葉が早打ちされる、脳に直接イメージを流し込まれるかのような独特の歌詞とフロウが魅力的です。声も特徴的で、透き通るような声とも言えるのですがちゃんと質量があって、一発引っかかってから貫通していく感じがあります。やくしまるえつこともまた違う独特のパワーがあります。

  志人(→紹介記事)なんかは好きですけど僕としては聞くのにエネルギーを必要とする感じがあって、一方でMoe and ghostsはただただ心地よく聞いてられます。

 

 まずJAZZ DOMMUNISTERSにハマって、そのアルバムの中にMOEがフィーチャリング参加した曲があり、それで気になってMoe and ghostsのアルバム聞いたらこれまたハマりました。Apple musicではシングル2枚とアルバム1枚が配信されています。その「幽霊たち」というアルバムがまじでイケていて、まじでめちゃめちゃ聞いています。今これ書いててテンション上がったのでポチりました。超名盤。

 

 YouTubeには公式では一曲だけフルで上がっています。公式では。非公式にはいろいろ上がってます。

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 よすぎる...。

 

 最近気になったトピックがあるとTwitterでフォロー内検索をして、気になる人たちの中でどう扱われているのかチェックするのが楽しいのですが、今検索してみたらちゃんと推されていましたね。

 

ぜひぜひに!

アンディ・ウィアー『火星の人』 紹介&感想

 どうも、たけです。

 ハードSF小説の傑作『火星の人』の紹介と感想です。読み始めてからは上下巻一日ずつ、わりとさくっと読めました。かなりおもしろかったです。

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今思えば中古で買って映画版の表紙じゃないやつにすればよかった...。

 

紹介

 紹介については下記ツイートがクリティカルです。

 ジャンル的にはハードSFであり、ごりごりっちゃごりごりでした。小説ではありますが、それは「火星探査ミッションの途中で仲間が離脱し火星に取り残された状況から生還するにはどうするか」というシミュレーションであり、そのシミュレーションがそのまま物語を形成している、という作品です。鮮やかな創意工夫の連続であり、絶望的と思えた状況が主人公の機転で解決されることに爽快さがあります。スポーツのスーパープレーなんかも爽快で感動的ですが、この本はエンジニアのスーパープレー集と言えます。「宇宙兄弟」を読んでいたおかげで少しビジュアルを想像しやすかったです。

 火星で一人で過ごすことの精神的苦痛や心理状態などは軽くしか扱われておらず、ヒューマンドラマ的な部分もあっさりなので、すっきりとサバイバルにフォーカスされています。

 

 では、以降はややネタバレも含むもう少し詳細な感想です。

感想

大胆かつ丁寧

 図工好きの理系小学生として、自分の工作経験なども踏まえて読みました。この本を読んだ経験が最も役立つのは実際に火星に取り残されたときでしょうけど、そういう機会に恵まれない地球人にとってもものすごく勉強になる本だと思いました。あらゆる(特にエンジニア的)プロジェクトの教科書になります。合理的かつ大胆かつ丁寧、そしてけっこー泥臭い。「素人発想、玄人実行(金出 武雄)」という言葉がありますが、まさにそんな感じです。突拍子もなく思える大胆なアイデアだけれど、その実行プロセスは至極丁寧にデザインされます。すばらしい。

 例えば、何か計画を実行する際には必ずテストを重ねること、そのテスト項目、テスト方法のデザインがまた実にうまい。そして、そうして慎重に準備したものが本当に些細な、しかし必然的な原因によって台無しになるところもたまりません(僕の経験上も、これはデバイスが勝手に壊れたか??と思っても原因を究明すると自分のミスであることがほとんど)。事前に現れていた兆候をなんとなく気に留めないままでいることで、結局大きなトラブルが起きてしまうこととか、思い出す後悔がいろいろあります。トラブルが起きた際はまず応急的な対応で目先の危険を取り除いたのち、一息ついてから根本の原因究明に取り組む感じとか、実にスマートでしたね。

 また、参考にしないといけないなと思ったのは、いい意味での見切り発車です。その先のゴールまで到達するプランはまだ構築できていないけれど、ひとまずどうするにせよ確実にやらないといけないことをまず進める。その先のことは進みながら考える、というやり方は重要だと思いました。慎重派の人は先の見通しが立つまで止まっちゃうことがあるので、こういう良い見切り発車の大事さは改めて肝に銘じておきたいです。

コストパフォーマンス

 本作では食糧生産におけるカロリー収支、設備のエネルギー収支、化学変化における物質の収支など、様々な計算が行われています。特に、ある行動を行うことで得られる恩恵とそのリスクを天秤にかけ、慎重に事を進める感じなどは実にスマートでした。

 とはいえ、そもそもの、そもそもですよ。一人の人間を生還させるために一体どれだけのリスクとコストを払ってるのか、その収支計算だけはないがしろにされています。そりゃ「人命には無限の価値がある」わけですし、もうスターとなってしまった彼に出し惜しみすることができなくなっていったこともわかりますが、とはいえ、とはいえですよ!

 ワトニーもワトニーです。最初にハブを農園にしたり、ハブの中で水を生成するために水素を燃やしていましたが、どうなんだいそれは。ちゃんと考えた上での行動なのかいそれは。この時はワトニーはまだNASAが自分の生存を確認したことを知りません。水素を燃やそうという際には、失敗して爆発が起きてハブごと玉砕するリスクを自覚して独断で取り組んでいます。そんなリスクを取るためには、まだ多くの生きた機器と6人が何十ソル生きれるサプライとがある莫大な価値のあるハブをNASAが再利用する可能性を考慮し、「その設備を温存する価値」と「自分一人が生還する価値とその可能性とそのために消費する物資」とを天秤にかけた上で、それら物資を生還のために消費する決断をしないといけません。他の場面ではみんな簡単に自分の命を危険にさらして仲間を助けようとするヒロイズムが描かれるのに、ワトニー自身を犠牲にして今後の火星開発の物資を温存して未来に繋げる選択肢はいまいち浮き上がらない。途中いろいろ実験をした貢献があるとはいえ。サンプルは持って帰れなかったし。

 最後にそこについて軽く言及されていて、「それは助け合うのが人間ってもんよ」って感じでした。言及されたことで「そういう天秤がバグっているという自覚はあったんやね」と許してはいます。あとワトニーは自殺しておくべしと言いたいわけじゃないです。もし現実にこんなことが起きたらめちゃめちゃワトニーの生還を応援すると思います。おもしろいので。

 それに単純に物語としては資金面(つまり政治面)の問題を無視することでエンジニア的創意工夫にフォーカスできたこともあるので、そうあるべきでしたね。

オアシス

 「限られた環境の中で無理難題を創意工夫で次々と解決していく物語」はたくさんあります。「火星の人」はまさしくそうですし、まぁざっくり言えば「進撃の巨人」なんかもそうです(「ワンピース」はなんか違います)。そういう物語のなかで「圧倒的なもの」「無尽蔵なもの」の存在というのはオアシスになるんだなと思いました。「進撃の巨人」だとリヴァイ兵長とミカサがめちゃめちゃ強いことがオアシスです。二人が出てきたらもう大丈夫、という安心感を持って読める。全然読んだことありませんけど、異世界転生ものとかだとチートスキルみたいなものがそれになるんですかね?そういうのが多いほどストレスなくサクッと読める。

 「火星の人」の場合、太陽光エネルギーとRTG(熱源に使っていた放射性同位体熱電気転換器)なんかにはそういう安心感を抱きました。人間の微力に対する圧倒的なエネルギー。そしてこれらは敵に回ることはなかったですし、めちゃめちゃ「頼れる奴ら」でした。特にこういう切り詰めた工夫をしなければいけない状況だと、それらの与える安心感はすごくて、ハラハラしながら読んでる最中はオアシスに感じました。創作的にはこういう存在は読者のストレスコントロールに効果的なアイテムなのかもしれません。

 さっき述べた資金面についても「ワトニー救出に当てられる資金は無尽蔵」というのが一つのオアシスでした。そこまで切り詰められるとストレス過多になっていたかもしれません。また、いくらか読んでるうちに「ワトニーの精神力は無尽蔵」ということが飲み込めたのも重要だったように思います。

 そういえば、ボードゲームでも「ドラゴンイヤー」なんかはめちゃめちゃ切り詰めないといけないオアシスなしのゲームなのでしんどいですよね。

 

 以上、アンディ・ウィアー『火星の人』 紹介&感想でした。かなりよかった!☆4.5

完成度

 どうも、たけです。そしてたけである。

 ブログに期待する機能として「ツイートしただけだと流れて行ってしまうものをそれなりにとどめておける」というものがある。後で変わる考えや的外れな意見だとしても、そのときそう思っていたということを残しておくことには一定の価値を感じる。持論みたいなものをドヤ顔で書き残すことには滑稽さもあるけれど、「こんなブログをやっといて何をいまさら」とも思うので、今後はより積極的にこういうこともやっていこうと思う。こういうときは「だである調」の方が書きやすいのは、対外性を下げるという照れ隠しなのかもしれないし、脳内言語をそのまま流し出す心地よさによるものかもしれない。今はわりと(いつも以上に)自己肯定感が高くてオラついてるので、少し前に気になったトピックを掘り返してみる(エクスキューズが多いな(というのもまたエクスキューズである))。

 

 みんな大好きMCバトル、呂布カルマがインタビューでこんなことを言っていた。

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フリースタイルの練習すんのってマジ無駄なんで、それは即刻辞めた方がいいと思います。

曲作りを常にしてれば。サイファーでなんとなくなーなーでやるフリースタイルよりもよっぽど精度の高い脳内フリースタイルを常にした状態が曲作りですよね。そっちをやった方がよっぽどトレーニングになると俺は思ってて。サイファーって安いんすよ。安い言葉、目の前にポンと落ちてきた言葉に手を出す悪い癖がつく。サイファーはオススメしないです。遊びとしてはいいと思うけど。

 

 僕なりにこれはピンとくる話で、自分も肝に銘じておかないと、と改めて思った。僕はモノづくり的なことに興味のある小学四年生で、この界隈には製作物の完成度を追求しないまま、あるいは一定の完成を迎えないまま次のアイデアに興味が移ってしまう人がたくさんいる。僕自身にもそういう中途半端なまま止まってしまっているものがある(深く反省)。それはよくない癖だと思う。所感として「60%の完成度のものを5個作った人よりも、95%の完成度のものを1個作った人の方が技術力が上質」ということは多々あるようにと思う。0%→60%にする技術と、60%→95%にする技術は質が全く異なる(100%になることはない)。質が異なりはするが、後者は前者の上位互換であることが重要である。

 

 例えば、ある製作物がA、B、Cの3つの要素の組み合わせで構成されているとする。60%の完成度でいいのなら、この3つの要素はそれぞれを独立に考えて組み合わせればそれなりに動くことだろう。しかし、95%の完成度を目指す場合、それぞれを独立に設計するだけでは到達できない領域がある。Aをうまく機能させるための配慮がBに求められたり、Bを高度化するための要求がCを高度化するための要求と衝突したりなど、全体が絡み合ったより高度で複雑な設計が要求される。完成度を高めるためには全く違うパズルを解く必要があるし、そこで求められるスキルこそ重要である。逆にそういうトレーニングを積んでない人は、95%を求められてもそのやり方がわからない。

 この話題で重要なのは、こうした95%に至るためのトレーニングを積んでる人は、60%の完成度でいい場面においても、60%を作った経験が豊富な人よりもいいものを提供できるであろうことである。あるいはちょっとしたアイデアを出すだけでもそこに差が出る。60kgのバーベルをギリギリ持ち上げたことが5回ある人よりも、95kgのバーベルをギリギリ1回持ち上げたことがある人の方が、楽に、より安定して60kgのバーベルを持ち上げられるであろうことと同じである。

 

 これは読書なんかにも言えるかもしれない。特に自分は読書好きというわけではなく、読書そのものが喜びというよりは読書から何かを得たいという気持ちで読書しようとしている(あまりできてはいない)。とすると、読書家の人に憧れてたくさん本を読もうとするよりも、それなりに絞った本をしっかり読み込む方が身になるかもしれない(あるものをしっかり読もうと思うとそこから派生して色々読んで知識が広がるというのもある)。さくさく多読できたとしてもほとんど忘れてしまう。とはいえ、インプットに関しては単純に数が多いほどいいということもありそう。

 ボードゲーム。たくさんのゲームを渡り歩く楽しさもあるが、一度どれかをやりこんでみるとボードゲーム全体に対する理解度がグッと上がる気がする。どれかをそれなりにやりこむことで、その根底に通ずるいくつかの基本要素の概念をしっかり理解できる(例えば僕はドミニオンを通して「圧縮」「勝利点を取りに行くタイミング」の概念と重要さを学んだ)。その理解は他のゲーム(あるいは人生)にも応用できるし、逆にそれをしないといつまでも浅いところでしか楽しめない。

 

 なんとなく、「意識高い系」の構成要素に「60%の完成度のものを5個作って満足してそう」みたいなものが含まれている気がする(努力している人を「意識高い系」と言って冷笑するのはよくないと思う一方で、そこには揶揄されるだけの悪い要素もあり、それらと紙一重、あるいは十分に意識高い系でもある僕自身がその悪い要素を持っていれば吐き出したいので、「意識高い系」を「意識高い系」たらしめている要素には興味がある)。とにかくハッカソンなんかは実にくだらないイベントだと思う。遊びとしてはいいと思うけれど。

 余談だが、僕はいわゆる「意識高い系」を、今のところ、「能力の高さではなく意識の高さで群れる人たち」と定義している。

 

 一方で、完成度の高さを追求しようとするときはその気持ちの強さと同じだけ、facebook社の壁に貼られているらしい下記フレーズを唱えることも重要である。

完璧を目指すよりまず終わらせろ
Done is better than perfect. 

 これはもちろん60%でええんやでという話ではないと解釈している。僕はこれを「フィードバックサイクルを細かくたくさん回せ」ということだと理解している。例えば、製作物を人に見せて意見やアドバイスをもらうことは非常に参考になり改善につながる。人に見せるには一定の区切りまで進める必要があり、それが「まず終わらせる」ということである。「恥ずかしいから完成するまで人に見せたくない」みたいなやり方は多くの場合後から大きく修正しなければならなくなるだけの悪手である。人に見せずに自分で見直すだけだとしても、ある区切りまでまず全体を進めてしまうことは非常に大事である。まず一定の完成度でもいいから全体を終わらせる、その全体を通して見ることで明らかになる問題を改善していく。この螺旋状のサイクルを細かく回していくことで95%が見えてくる。60%で終わって次に行ってしまう人はその場で円形の軌跡をなぞっているだけで昇ってはいない。

 

 前置きの内容に立ち返る。ふと考えたことがあるとして、ツイートしてみるのは50%、ブログに書くとなるともう少しちゃんと言語化して考えをまとめるので80%くらいの練度になるかもしれない。そういう機能も期待したい。1ヶ月更新が止まったことによりこのブログの完成度は60%に。

映画:「アメリ」感想 - 特に、メタニタについて

 どうも、たけです。

 どうせ自分は好きなんだろうな、と思って映画「アメリ」を見ました。案の定そこそこ好きでした。なんだかいちいちおしゃれ、落ち着きつつも色彩豊かな映像、たまに差し込まれる多様な映像とCGにより広がるイメージ。キュートなアメリ、ちょっとブラックでユーモラス、程よいミステリーとそのすっきりおしゃれな解決。よかったです。

 

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 特段「アメリならでは」ということもない演出なのかもしれませんが、「このほどよいメタ具合、好きだな」と思ったのでその話を。ここで言うメタ演出というのは、例えばカメラがだんだんアメリに寄っていくとアメリがふとカメラを見つめて、カメラに向かって(さらにはその向こうにいる観客に向かって)ニタッと微笑んだり何か言ったりするやつです。メタニタです。上記のトレーラーの最後の方にもありますね。これがなんだかとっても好きでした。これは登場人物の目線に乗り移った結果としてアメリと目が合っているわけではなく、完全に「カメラ」「観客」としてアメリと目が合っています。

 

 他の作品などでは「そのメタなんやねん」と思うことが多いので、メタってだけで気に入るもりはありません。メタネタはわりと内輪ウケに近いタイプのユーモアだと思っています(そして内輪ウケは、内輪ウケ)。漫画とかでもよく見ますね。没入感が阻害されるというか、世界観を破壊するだけのことが多いように思います。一方、アメリはそもそもナレーションベースで展開するシーンが多いです。ナレーションというのはめちゃめちゃメタなものなので、そもそも映画全体としてメタ要素が強く、アメリが観客を見るような演出も全く臭うことなく自然になじみます。そしてこれによってアメリの魅力的なニタッが最大の威力で提供されています。突然差し込まれるイメージやCGもそう。そもそもがメタ視点。よきかな。

 

 そんなとこです。

 最後に、逆に「そのメタなんやねん」と思った曲を2つ紹介しておきます。

Chara 「タイムマシーン」

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恋人はもう来ない 時代はもどらないよね
タイムマシーンはこない そんな歌をうたってた

いや、そのメタなんやねん!!

 

スチャダラパーサマージャム'95」

(下記動画は鎮座DOPENESS×環ROY×U-zhaanによるカバー)

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みんなで徹夜あけ レンタカーで
情けなかったねー海パンダサダサで
あれは笑ったなー 行きたいなー また
こんな曲でも流しながら

みんな そそのかされちまう
ついつい 流されちまう
結局暑さでまいっちまう
誰のせい?それはあれだ! 夏のせい

いや、そのメタなんやねん!!

今月のいいね 2019年5,6月編

 お久しぶりです、たけです。エクストリームな日々が続いており、なかならこのブログに戻ってこれませんでした。落ち着いたので復活します。いやはや、たくましく生きねば。

 というわけでおそばせながら今月SNSなんかで気になったものをざっくり紹介していくコーナー、2019年5,6月編です。なんかあんまなかったです。

 

[:contents]

 

LEDフラッグ

 EXILE系の演出装置などを手掛けるM plus plusが開発したLEDフラッグ。「映像が揺れる」というのは新しい体験だしかなりかっこいい。G20のオープニングセレモニーでも使用されたそうで。めちゃめちゃ使いどころが多そう。 

 

 

なんかCG

  めっちゃいい。少し前に話題になったCG女子高生sayaなんとなく似てますが、こっちのほうがグッときますね。もちろんそもそものコンセプトが違うわけですが、現実に近づけるよりも新たなかっこよさを創造する方が僕は好きです。

軽いハンマー

 2月分で紹介してからフォローしている荒牧悠さんのツイート。そういうアナログな違和感みたいなものに敏感でいたい。

MIT Media LabのKinetiX

  これだけデジタルが発達しても、いまだに新しい機構が生まれてくるのはいつも感動する。同じ動作を制御的に実現しようと思えば何個もアクチュエーターやセンサーが必要だけれど、機構を工夫すればそれだけで済んでしまう。美しい解決方法。

白/黒と差別

  たしかに他の場面で言われてる法則を適用するなら「白/黒」という表現は怪しくなってくる。こういうのにはうんざりする一方で、正義でコーティングされた善良な原則によって「なにもそこまで」みたいなところまで行かざるを得なくなるのを見ると快感を覚える自分もいる。

かみしのさんの日記

 粘菌歌会をきっかけにフォローしているかみしのさんが最近始めた日記がすごいです。日記でこれだけきれいな文章がかけるものなのかと感動しました。また、その生活における視点や情動に、どう表現するのがふさわしいかわかりませんが、文学的詩的なセンスが溢れています。自分も日記をつけていたことがありますが、文体からなにからこんなにも圧倒的な差があるものなのかと衝撃を受けました。脳内言語が違いますね。逆に自分は文学とは縁遠い生活で、かなり理屈的な脳内言語活動をしていて、それだけで攻撃的なところもあるでしょうから、なんか食らっちゃいました。

 

以上、今月のいいね 2019年5,6月編でした。